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夢主side
幼い頃から父親に、護身用程度の体術を教えられて来たことを話すとフロイドは、男子高校生らしく目を輝かせて聞いた。
「え、!え!他にどんなことできんの!?」
「そんな大袈裟です、大したことは出来ないのよ。」
「んなことねぇよ!女の子なのに戦えるなんてかっけぇ!バ〇オハ〇ードかよ!」
この世界にも〇イ〇ハザ〇ドがある事が驚きだったが、キラキラしてるフロイドが可愛くって何かしてあげたくなってしまう。
「で、では!先輩が大人しく完治して下さるなら多少のご希望には添えると思いますよ」
「マジで!!?」
「ええ、まじです」
柄にもなくはしゃいでしまう、やめようとは思うがフロイドが喜ぶので少しいや、大分楽しいばかりか小躍りでもしそうな気分である。1言えば5くらい興味を増してくれるので話すつもりの無かった自分の話をポンポンとしてしまう。
「あはは、実は私バレーも出来るのよ」
「すっげぇ!!足どうなってんの?!」
「社交ダンスも少し」
「!!オレも出来るよ社交ダンス!」
「まあ!本当に!」
オレが完璧にリードするよ、とベッドから立とうとするフロイドを慌てて止めると、悔しそうにするので話を聞けばミドルスクールから嫌々習っていたと言う。
「最初はすげー嫌だったけど踊れると楽しいから続けてたんだ、絶対今度踊ろーね小エビちゃん」
「はい、勿論です」
話を続けようと口を開くと、丁度扉のノブがガチャり、音を立てて無造作に開いた。誰だと視線をやるとそこには毛頭会いたいだなんて思ってなかった人物が気だるげに頭の赤毛を振って現れた。
ウッズだ。
ウッズを視界に認めた瞬間フロイドは緩みきっていた感覚をギリギリまで締め上げて、全身から殺気を滲み出させた。動けずに居た私をギュッと抱くので場違いに少しだけ安心した。
「…あ、ああ久しぶりだね君達、大丈夫もう付きまとったりしないよ、うん、随分と絞られたから。今日はその絞られた分を治す薬を取りに来ただけさ」
何だか気の抜けた声に、あの時の異常なまでの情熱の篭った声を思い出して暖簾に腕押しでもした気分になった。
まだ警戒を解かないフロイドの横顔をぺちぺちと叩いて大丈夫そうよ、と声を掛けるとフロイドは、何度か疑うものの私とウッズを見比べながら数拍置いて、ベッドに腰掛けた。
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作者名:病み病みスリッパ | 作成日時:2020年6月25日 18時