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夢主side
「お父様」
「A、起きてたのか、、」
「ええ、、お父様また怪我…」
「すまないね、、父親のこんな姿見苦しいだろう」
父はいつも言葉を選ぶようにポツポツと喋った。
父の帰りが遅い日、心配になって夜中にこっそり起きて待っていると必ず怪我をして帰ってくる。
父は傭兵だった。
「そんな事ないわ、でも、私お父様が心配なの」
「すまない…」
「…私のためなのかも知れないけど、あまり、無理をしないで、」
夜中に見かける父は昼間の父とは、雰囲気がかけ離れていて少し不安になってしまう。手のひらを空気がすぅと撫でるので、寝巻きの裾を握った。
「さぁ夜ももう遅い、ベッドに入りなさい」
「分かったわお父様…おやすみなさい」
握った裾を離して父の傍によると、作業の手を止めて額にそっとキスをして、離れる時に大事そうに頭を撫でてくれる。
「おやすみA」
思い出の中の父はいつもどこか怪我をしていて、人前では隠すように長袖を着ている。
母親は私を産む時に亡くなり、母の顔は写真でしか見たことがなく、学校でみる普通の家庭像が羨ましかった。
中学3年生の頃、私が本格的に受験シーズンに入ると父は傭兵を辞めた。私の為だと言ったが父が体を悪くしているのを私は知っていた。
「おとーさん今どうしてんの…？」
「貯金はあったので入院してます、大丈夫、命に関わる様なものではなかったの」
「そーなんだ、よかったねぇ」
「ええ、本当によかったわ、もうお父様が怪我をなさらないと思うと本当に」
どこか気まずそうに視線を逸らすフロイドは、治療された腕を体の後ろに隠した。よく怪我するのを気にしている様子だ。
「！、先輩も可愛いところあるんですね」
「可愛いとか言わないでよ！オレ男の子なんだけど！」
「ふふ、あはっ、可愛いですよ」
「も〜っ！…て、ていうかあれは？あれ！」
「あれ？」
「雑魚2匹蹴散らしてたじゃん」
「？！み、っ、見ていらして、っ！」
恥ずかしい…恥ずかしい……暴力を振るうところなんて見られたくなかった…
「ご、ごめんなさい、わ、忘れてくださる？」
「え〜やだ♡」
「お、お願いよ…」
「んーなんであんなこと出来んのかぁ教えてくれたら、忘れなくもないかなー？ね、小エビちゃん」
「う、うぅ、本当ね？」
「んふふ、んー多分ね」
先程と打って変わって余裕そうなフロイドにちょっとだけむっとした。
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作者名：病み病みスリッパ | 作成日時：2020年6月25日 18時
