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夢主side
「ゑ、ベットが空いてない？」
「あ、うん今日、1年の授業でね、マジカルシフトえあ、うんとね、マジフトの練習試合があって、、え！また急患！？ごめんね、予備の部屋あるからそっちに行ってて、あ、医療品の使い方分か」
「分かります、ですから早く急患の方を診に行きなすって」
「え、あうん、ごめんね、ありがと」
要約するとマジフトで怪我人が多発して保健室のベットが急患で埋まっているので、別室で治療するとのこと。慌てた様子で急患の対処にあたる保健の先生が少しばかり気の毒に思った。
「…小エビちゃん無理しないでよ、、重いでしょオレ、」
「大丈夫です、これくらい慣れてますから、それに先輩は私の心配より自分の心配をなさって」
「…そぉ、？」
しばらくして体力が回復したのか、私に肩を支えられながら歩くフロイドは心配した様子でこちらを伺うので、自分の心配をして欲しいと少しばかり咎めると表情こそ見えないが、心配そうな声で返事をした。
「ここですね、ベットまでもう少しですから頑張ってください」
「大丈夫だって、」
「私の気が済まないので大人しく治療されてください」
空き教室を臨時で保健室にしたのか雑さが目立つ、少々はしたないが片手で扉を少し開けて隙間に足を入れ込んで扉を開ける。
「ごめんなさい、はしたなくって」
「いや、オレいなかったらこんな事しなくて済んだのに、ごめんね」
「あ、謝らないで自分を客観的に見てしまって恥ずかしいわ、、」
勢いでベットに座らせると隣に座り、無言のままサイドテーブル代わりのパイプ椅子の上に置いてあった医療品1式に手を掛けた。来る途中で切り傷などの外傷は水で洗い流したので、消毒液を使っても問題ない。
自分でやると言って遠慮がちなフロイドを一蹴すると、取り出したピンセットでコットンを摘んで消毒液を染み込ませた。
消毒液の独特な匂いが鼻に来るらしく、見るからに不快そうに顔を顰めてみせるフロイドが、体躯と年齢に釣り合わない幼さにかわいいなと思った。
そのままテキパキと作業のように治療を進めると、余裕が出てきたフロイドがふと口を開いた。
「…なんでそんな手馴れてんの？」
「…仕事柄父はよく怪我をする人で、いつも父が1人で自分の手当するのを見てたんです」
「手伝わなかったの？」
「手伝わせて貰えませんでした」
傷口を保護するためのガーゼを切り出しながら、そっと元いた世界の事を思い出した。
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作者名：病み病みスリッパ | 作成日時：2020年6月25日 18時
