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フロイドside
目が覚めると窮屈なベットに点滴で繋がれていた。無事保健室に運ばれたらしい。消毒液やら包帯やらの独特の匂いが漂い気分を著しく下げた。暫く動けないだろうし、やることも無いので二度寝を決め込む。しかしAの無事を確認していないことに跳ね起きた。
「小エビちゃ、!ったぁ?!」
上半身をベットから起こしたところで直ぐにAが横のベットに寝ていることを確認して安心はしたが、直ぐに全身を鈍い痛みが駆け巡った。傷の痛みと筋肉痛が正常な動作を妨げる。
「お、あ"ぃっ、やっば…」
「おや、フロイド監督生さんの前で随分と情けない声を上げますね、らしくない」
「ゔぁ、くっ、そ今来んなよ」
「折角お見舞い(笑)に来てあげたのに悲しいです」
ジェイドはお見舞いと言っているがこれといった差し入れを持っている訳でもなく、恐らく冷やかしに来たのだろう。これぐらいではフロイドが死なないと分かっての身内ムーブ、畜生である。
「アズールがラウンジを休んでいた分、きっちりと働いて貰うとおっしゃっていましたよ。フロイドの代わりは僕が働いたんです。尾びれすり減らしてでも働いてくださいね」
「…オレどんぐらい寝てた?」
「2日半ですかね、サボったら監督生さんにキノコ布教しますよ」
「は?させねぇよ?」
「フロイド次第です」
「…」
胡散臭い笑みを浮かべながら他の生徒が置いていった差し入れのお菓子をつまみ食いするジェイドに倒れた後の顛末を聞くと、あの後直ぐ監督生を探していた先生が自分達を見つけ保健室に運び、ウッズは地下室から続く血痕を辿られ見つかり、今は別室で治療を受けているらしい。
「部屋どこ、トドメ刺しに行く」
「やめなさいフロイド、前科なんか作られたら経営が傾く。うちの従業員という自覚を持ちなさい」
「おやアズール、ラウンジはどうなさったんですか?」
「どうなさったんですか?じゃない!どうしてお前らウツボ共は営業中にどこか行くんだ!」
「つい」
「給料差し引くぞ」
「アズール達うるさいんだけど、小エビちゃん寝てんじゃん」
アズールとジェイドが会話をピタリと止めたと思うといかにも冷やかすような笑みでそろそろと保健室を出ていく。
「お邪魔しました、フロイド」
「ええ、僕達はお邪魔でしたね」
「え、何、うざ」
やっと出ていったかと思うとジェイドがひょっこり顔を出した。
「防音魔法かけましょうか」
「いらねぇ〜!帰れ!」
ウツボは思春期であった。
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作者名:病み病みスリッパ | 作成日時:2020年6月25日 18時