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夢主side
「、はっ、ぁ、いっ？！」
整い始めた呼吸を乱す痛みが左足を襲い、さするとじわりと血が滲んだ。無理に攻撃を入れた時に魔法が掠っていたのだろう。侵食するような傷がどくどくと火傷するような痛みを煽る。
歩けそうに無い、暫く時間を置いてここを出ようか。
でも授業もある、もう授業は始まっているだろうが、無言で欠席は不味い。
怪我をしていない方の足を立てて痛みを堪えながら立ち上がる、しかし左足に力入れるとバランスを崩し倒れてしまった。
「怪我をしてるんだから無理をしない方がいいよ」
「は、」
気づかない内に起き上がり後ろに回っていたウッズは既に魔法を放っていて、避けようが無かった。
最後にフロイド先輩に会いたかったな。とぼおと思いながら本能的に腕で頭を庇い、体を強ばらせながら目を瞑った。
しかし痛みは訪れない。
「
「先輩っ！」
目を開けば目の前に自分を庇うように立つ、
逞しく愛しい背中があった。
「殺す」
声は心底怒っていて冷たいけれど場違いに愛おしく感じた。
「っ、なんだ君、また邪魔しに来たのか。君それじゃウツボじゃなくて金魚の糞みたいだな。興ざめだ、退場願うよ」
「あ"？っせぇな、」
いくらフロイドと言えど、相手は4年生。実力差はある。肉弾戦なら勝ち目はあったかも知れないが、魔法が使える今、勝てるかどうか分からない。フロイドもそれが分かっているのかいつもの様な高圧的な態度をせず、焦っているように見えた。
「先輩、気を付けて」
「ん、分かってる」
結果は最悪。
フロイドは初めこそは押していたが経験値の差が比ではなかった。力量の違いどんどんとフロイドを疲弊させていき、遂にフロイドは床に転がった。
「先輩！！」
「あーあ、君のウツボ君弱かったね、ほらもう動かないよ」
ウッズは汚い物を触るように足裏でフロイドの頭を踏みつける。フロイドは動かなかった。
「やめろ！」
何も出来ないのが嫌だった。何も出来ない自分に反して呪われた髪だけが怒りに震えるのがもっと嫌だった。
「嗚呼、危機が迫ると女性は口が悪くなるのか、面白いね」
「っ…！足を退けて」
「言われなくとも退けるさ」
ジリジリとこちらに歩み寄ってくるウッズに違和感を覚える。
あ、手負いだ。魔法が使えない分魔法耐性がなくハッキリとは分からないが、明らかに歩き方が不自然だ。手負いだと悟られない様に幻覚魔法を使ったのだろう。
時間を稼ぐなら今だ。
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作者名：病み病みスリッパ | 作成日時：2020年6月25日 18時
