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22 _ despair ページ1

彼が撃たれた。




目の前で、撃たれた。




グルッペンに撃たれた。




そんな事実が私の心に突き刺さる。





「ぞ、む」




掠れた声で私はゾムの名前を呼ぶ。





「Aだけでも、生きて、くれ…な?


ごめんな。俺、守れへんかった、


約束…すぐ、破ってしもうた。」





そう言いながらズルズルとゾムは私の方へ寄ってくる。




「喋らないで、動かないで、ゾム!!

血がもっと出る…。

まだ、生きる。まだ生きるよ。まだ。死なない。死なせない。絶対死なせない。だから動かないで。そしたらなんとかするから。

だから……」




私は鉄柵へ手を伸ばしてゾムの手を握る。彼も握り返す。とても弱々しいが、生きてると実感できるだけでも嬉しかった。




「ごめん、ほんま、無理かも…しれへん。A…だけでも、逃げて、くれ。」




「ゾム、いや、いや、いや、」




私は何度もいや、と繰り返し事実から目を背ける。そんな私をゾムは




「…愛してる。」





そして、彼の手から力が抜けた。

一瞬最悪な展開を予測してしまったが、まだかすかに息はしていた。

でも、早くしないと手遅れになる。




「無理に決まってるんだよなぁ。

この距離でこの位置。ほぼ心臓の場所に打ったから死ぬのは数分って所だな。

残念だよな?とっても悲しいよな?

だが、俺にとっては最高だぞ!!」




グルッペンは私の希望を踏みにじるように言い、狂気に満ちた顔で笑っている。彼のこんな顔を見れるのは戦争くらいしかないだろう。

そして、その顔は他の誰よりも醜かった。




「…最低。

お前なんか嫌い。嫌い。一生私に関わらないで。」





私はまだ生きているゾムの手を更に握り締める。

恨み。憎しみ。虚しさ。

負の感情が一気に押し寄せた。


グルッペンのせいで、グルッペンのせいで…!

私とゾムは彼に何度言葉にしがたい痛みを、辛さを経験したのか。今まで誰かに向けたこともないような鋭い目で彼を睨んだ。

23 _ very gross→



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しらす - めっちゃ感動しました!!ありがとうございます (2019年4月27日 23時) (レス) id: 3e07d4634e (このIDを非表示/違反報告)
めい(プロフ) - 素晴らしい作品を。。ありがとうございました。。。 (2019年3月24日 21時) (レス) id: 0b596b15a5 (このIDを非表示/違反報告)
アルバ|˙??˙))(プロフ) - 感動しましたっ…! (2019年3月18日 20時) (レス) id: c177f1386f (このIDを非表示/違反報告)
薙(nagi) - 好き過ぎて辛い、なんかもう…お幸せにヽ(;▽;)ノ (2019年3月15日 22時) (レス) id: 43e3ad1e0e (このIDを非表示/違反報告)
イムさん - う、うわぁぁぁぁぁあん!!!泣 か、感動しましったっ!!!面白かったですーー!!!二人共お幸せにっ~~!!!!グルさんもいい人と会えますようにっ!!!……いやもうこれ、とんちが女になってグルさんととんちと愛し合えばよくね??gr「やめろ」tn「やめて」あっはい…さーせん (2019年1月27日 19時) (レス) id: e7f7ec6ca4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:凛桜ぽん | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2018年7月17日 23時

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