誰もいない場所へ - tn ページ22
今だけは、このままでいたい。
クラシックに合わせくるりとターンして彼とステップを踏む。以前は何度も足を踏んでいたのに今は踏むことはおろか蝶のごとく踊れているんじゃないか、なんて自画自賛する。
ダンスは1度もつっかえる事なく終わった。
「A様、完璧です。」
明日の本番でも同じように踊れるだろう。
この1ヶ月間、社交界デビューを果たす私は幼馴染兼執事であるトントンと一緒に踊りを練習した。
私よりも5歳年上なのに、未だ平民の彼。そして公爵の娘の私。比べなくても身分の差ははっきりしている。
私の側で一生仕えてくれるだなんて言ってくれた。いつの間にか気軽に喋っていた筈の言葉も敬語に変わり、Aなんて呼び捨てにしていた言葉も今では様付け。私はあの頃が好きだったのに彼は身分ですから、の一言で片付けられる。
壊滅的に踊りのセンスがない私がここまで出来たのは彼が側で少し厳しいが細かな指摘をしてくれたからだろう。
「ありがとうございます、トントン。」
明日になると婚約者が決まる。
社交界デビューというものはそういう事でもある。きっと、公爵の娘の私を嫁に迎え入れてより地位を確固にしたい貴族は山のようにいる。
欲に飢えた男達の中に1人放り投げられる様なもんだ。
父上も相手こそは決めなかったがこちらに利のある婚約をしろ、と一言感情のない声で告げられた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 559人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
凛桜ぽん(プロフ) - ラヴァルト・ティアマットさん» お返事が遅くなりすみません。了解です！少々お待ちください…。 (2019年3月3日 22時) (
レス) id: 8b759a8a6d (このIDを非表示/違反報告)
ラヴァルト・ティアマット(プロフ) - あ。(e/mさんの尊さに息を引き取る音)(続きをリクエストしたいですお願いします) (2019年3月2日 20時) (レス) id: 02311fe25d (このIDを非表示/違反報告)
凛桜ぽん(プロフ) - しあ。さん» 9.9になる前に7.7の時期がありまして…。よく分かってないんですよ今のところ…今は何も無いみたいですね、ありがとうございます。 (2018年12月9日 23時) (レス) id: 8b759a8a6d (このIDを非表示/違反報告)
しあ。(プロフ) - 私の表記だと9.9/10(46票)と表示されています、なんらかの不具合でしょうかね？ (2018年12月9日 23時) (レス) id: 3344a8c17f (このIDを非表示/違反報告)
凛桜ぽん(プロフ) - しあ。さん» すみません、誤字です。直させていただきました。いつも読んでいただいて幸いです！大好きなて勿体ないです…ありがとうございます…。 (2018年12月1日 20時) (レス) id: 8b759a8a6d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
