乙女ゲームの世界に入ってしまいました【浦島坂田船】

うらたルートEND ページ40

〖もう一回、キスしたい〗


〖帰ろうか〗



ああ、これは。
最後の選択肢。

これが、うらた君といれる最後の時間なんだ。
これが、最後。


私が、現実に帰って…







「…う＿＿＿」


「…A？」



不安そうにこちらを覗く、熱の籠もった緑色の瞳。

透き通るように白い肌。

さらり、と私の答えを急かすように揺れる茶色の髪。

何かを恐れているように、細かく震えている唇。




＿＿＿ずっと、見ていられる。

例えるなら、好きなキャラのスチルのように。
でも、これは触れるもので。そして“正真正銘私に向けられたもので”。




ああ、綺麗な顔。






「もう一回、キスしたい」


「___っ！ああもう何それ反則！！」




今日…いや、今までで一番真っ赤な顔をして、うらた君は少し荒々しく、再び口を重ねてきた。


そのうち、ふわふわと浮くような心地良い感覚と共に、だんだんと視界が色を失っていく。



ああ、帰れないや。



うらた君。うらた君。

ずっと、一緒に…。



そんな気持ちを込めて、真っ白な視界で彼の手を確かに握った。

指を絡めて、強く。







そして私は、ゆっくりと意識を失っていった。









【うらたルートEND
キーパーツ［緑］を入手した】









俺は夢を見た。


『帰ろうか』


屋上で、お弁当を食べてる途中に、誰かが俺にそう言ってきた。


俺は今？何処に？と聞く。


彼女は、『…教室に』と悲しげに笑った。






まぁ、夢は夢だよな。

そう、全部夢。




俺は、再び目を閉じて、朝を迎えた。

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