うらたルート3 嘘 ページ25
「あれ?うらさん帰らへんの?」
「ちょっと寄るところあんの。だからまだ一緒だよ」
案の定校舎から出る際に坂田君と出会い、三人で校門を出る。
いつもならここでうらた君と別れるのだが、今日はうらた君も私達と一緒の方向へ行くようだ。
…きっと、多分、私の為に。
そう思うと、何故だがどことなく恥ずかしくなり少し俯いて歩いた。
「…うらさぁ〜ん?」
「何、どしたのさかちん」
「うわっ何やさかちんて!機嫌ええん?」
「別に?俺は元はこんなんだよ。で、何?」
「いや、寄るところって何処かなーって」
「んー、秘密」
にしし、と歯を見せて笑ううらた君。
さっき坂田君も言っていたが、今のうらた君は何処かご機嫌なようで、見ていてこちらも何だか嬉しくなる。
そんなうらた君を横目に、ふぅん、と口を尖らせた坂田君は、やがてうらた君の肩に腕を回し戯れ始めた。
そんな坂田君の顔も、何処か嬉しそうで。
…坂田君も、ご機嫌なうらた君を見て嬉しくなったのかな、なんて。本当にそうだったら、それが彼の本心だったら。
私の願望が、何処に向かうでも無く浮かんでは心中で溶けて消えた。
「…うーらさーん?」
「なーぁにーぃ」
「何処まで行くん?」
「まだまだ行くの」
「…そう」
もうそろそろ坂田君と別れる道。
そこに差し掛かったところで、坂田君がうらた君を気にし始める。
うらた君はそんな坂田君を気にもとめずにに歩いていた。
そして、遂に辿り着いた別れ道。
坂田君が立ち止まり、口を開く。
「…ねぇうらさん」
「…何」
「A先輩の家、行くんやろ」
「え」
坂田君の言葉に思わず私が呆けた声を出す。
すると、うらた君が一つ溜息を溢してから私の肩に手を添え、ぐっと引き寄せた。
私の肩が、うらた君の胸板に落ち着く。
うらた君の胸は、心臓は。
ヤクザである坂田君を目の前にしているからか、それとも…私を引き寄せたからか。恐らく常時よりも速く鼓動を刻んでいる。
「そう、俺Aん家寄るの」
「へー、やっぱり二人って付き合っとるん?」
「な、そんな訳な、」
「うん。付き合ってるよ」
「え、」
「…へぇ」
付き合っていると断言するうらた君。
投下された大嘘の爆弾にあんぐりとするしかない私。
目を細めて私とうらた君を見る坂田君。
ぽつ、と。
空から一粒の雨が、私の肩を抱くうらた君の手に落ちた。
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雨上がりのcrew(プロフ) - お体に気を付けて更新頑張ってください−!! (2019年8月6日 18時) (レス) id: 11f12a305b (このIDを非表示/違反報告)
羽飛(プロフ) - 彩葉さん» センラーさんにそう言っていただけて、嬉しい限りです!応援に応えられるよう頑張ります、コメントありがとうございました! (2019年5月1日 13時) (レス) id: 188fe56108 (このIDを非表示/違反報告)
彩葉 - 私の推しセンラさんなんですけど、センラ先生最俺にも出ててマジで好きです!引退されるのはとても寂しいですが、最後まで応援させていただきます! (2019年5月1日 12時) (レス) id: ca54fe217e (このIDを非表示/違反報告)
羽飛(プロフ) - 浪音さん» 大変おまたせしました!今の所は引退を考えていますが、寂しいと言っていただけるととても嬉しくも思います。ゆっくりにはなりますが、これからも読んでいただけるならば、頑張って更新します!コメントありがとうございました! (2019年4月11日 17時) (レス) id: 188fe56108 (このIDを非表示/違反報告)
浪音 - 羽飛さんこれ完結したら引退しちゃうんですか...( ´-`)どうでも良い話ですが防音シェアハウスにて暴走中の時から応援してたので少し寂しいです。残りの更新頑張ってください!!応援してます!!! (2019年3月28日 20時) (レス) id: a925fc985a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:羽飛 | 作成日時:2019年1月23日 17時