40小節目 本編後日談その7 ページ41
華やかな音楽に人々がひしめく喧騒、それらが遠くに聞こえる。
少し高価な洋風の部屋で、同じく気品の高さを伺える椅子に座っている私の目の前には、タキシードに身を包み背筋を伸ばしたお兄ちゃんがいた。
「いやぁ、妹のこんなに可愛い晴れ姿が見れるとはなぁ。お兄ちゃん、感動ばい」
最初は冗談めかすように爽やかに笑っていたが、今では瞳に薄っすらと涙を浮かべている。
「…泣かんとって。そげん顔、お兄ちゃんらしくなかとよ。
お兄ちゃん、本当にありがとう。
大好きたい」
いつもは素直になれないから。
昔のような口調で、ありきたりだけれど思っていることをそのまま伝える。
すると、お兄ちゃんは遂に笑顔をも崩して泣いた。
「A…それは泣かしにきとるばい…！
絶対に、幸せになるんよ」
もう、幸せたい。
その言葉を飲み込んでこくりと頷く。
やがて、その時は来た。
私は、華麗な純白のドレスと薄いベールを身に纏い、お父さんに寄り添って歩く。
お父さんの方を見やると、そこには普段と変わらない仏頂面があった。
しかし、普段と違う点が一つ。その目はとても赤くなっていた。
少し遠い位置で座っているお母さんの瞳にも、先程のお兄ちゃんのように涙が浮かんでいて、私も泣きそうになる。
それを堪えて、恙無くそれを
＿＿結婚式を、進行させた。
「新郎。貴方はここにいるAを、
病める時も、健やかなる時も、
富める時も、貧しき時も、
妻として愛し、敬い、
慈しむ事を誓いますか？」
牧師の問いに、隣にいる彼が答える。
私にも同じ問いを掛けられ、彼と全く同じように答えた。
「はい、誓います」
そして、牧師の言葉を借りて指輪を交換し、私達は見つめ合う。
「誓いのキスを」
彼が私の顔に掛かったベールをゆっくりとあげる。
私と彼の間に何も無くなった時に見えた彼が、とても愛おしい。
緊張しているのかほんの少しぎこちないが、そこには、私を支えてくれた、これからも支えてくれる笑顔があった。
見つめ合って、愛おしんで。
彼は、私だけに聞こえる声で愛の言葉を告げた。
それが、合図だった。
ゆっくりと彼の顔が近付いてくる。
私は目を瞑り、顎を少し上げた。
そして、唇を合わせた。
一瞬のそれは、とても長く、永く感じられて。
ああ、心の底から愛おしい。
卓上に並んだグラスや花々が、私達を祝福した。
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ｳｵｵｵｵｵｵｵｲｱｳｵｵｵｵｵｵｵ!!!!! - すごく面白かったです！リクエスト部屋作って欲しぃ… (2020年4月12日 17時) (
レス) id: 9e28ad89d2 (このIDを非表示/違反報告)
柚丸@粟田口(プロフ) - お気に入り登録1000人目いただきました！本篇から応援してて、ずっとにやけてました((( (2019年8月27日 22時) (レス) id: 5f90eb09a7 (このIDを非表示/違反報告)
羽飛(プロフ) - 関西風しらすぅ@坂田家さん» やばいですよねあれは！！最初聞いた時にバタバタして悶ましたwまさに粉塵爆発！(違う) (2019年5月5日 15時) (レス) id: 188fe56108 (このIDを非表示/違反報告)
関西風しらすぅ@坂田家 - いやさかたんの言わせんな恥ずかしいに心臓破裂すんのめちゃ分かる。ワイ心臓粉末になりかけたもん。 (2019年5月5日 13時) (レス) id: f34e486c2f (このIDを非表示/違反報告)
羽飛(プロフ) - めい*crew*さん» ここまでご拝読いただきありがとうございました！毎日の日課にしていただいていたなんて、とても幸せです。これからも素敵な作品と言っていただけるような文を書けるように頑張ります！ (2019年1月29日 13時) (レス) id: 56a129691b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：羽飛 | 作成日時：2018年12月11日 20時
