39曲目 父と娘 ページ39
しかし、いくら待っても何が私の唇に触れることもなく、そのうち、私の顔をホールドしていた手も外される。
ゆっくり目を開けると、志麻さんは寂しそうな目で私を見下ろしていた。
私が目を開けたことがわかると、志麻さんはハッと鼻で笑う。
それはまるで、自分に向けた嘲笑のように感じられた。
「何て顔してんねん。
安心しろ、俺はお前に手を出さねぇよ」
優しい顔。
でも、何処か寂しげな顔。
私にはわからなかった、その顔にはどんな感情が込められているのだろう。
「今のは手を出した、には入らないんですか？」
そう問うと、志麻さんはもう普段と変わらぬ様子で、減らず口め、と笑った。
そしてベッドから下り、椅子に座るのと同じようにベッドに座った。
「こんくらいはただのスキンシップや。
俺はお父さん、やからなぁ？」
にしし、と笑う志麻さんの顔は不思議と私を安心させる。
「こんな変態なお父さんは嫌なのですが」
「俺可愛い娘はうんと甘やかしたいねん」
すすすっといやらしい手付きで私の足を触る。
私はその手をぺしっと叩いた。
「甘やかし方を誤ると返って嫌われますよ」
「辛辣やなぁ」
さて、と言い彼は立ち上がり、くるりとこちらを向く。
そして、左手を私に向かって、開いて出した。
「じゃあ、行くか」
「どこに、でしょうか」
いきなりどうしたのだろうか。
私は首を傾げ問いで返した。
彼はお父さんにしては幼い少年のような笑みで、答える。
「俺の部屋や。今日は俺のもんなんやから、俺の部屋で、同じベッドで、一緒に寝ようや？」
「…親子では「親子でも！今日は特別！」…まぁ、触ってこなければいいですけど」
中々手を重ねない私に焦れたのか、志麻さんから私の手を握ってくる。
「Aに否定する権利はないで？
俺の部屋で寝るんは強制や」
私はそのまま手を引かれ、志麻さんの部屋のベッドに入る。
握られていた手は暖かく、娘、と言われている私にとって、娘ではない感情が胸の内からふつふつと湧き上がっている。
何だろう、これ。
苦しい？
前に感じた胸の渦とは、少し違う気がする。
ベッドの上で、ぎゅっと志麻さんが私を抱き締めた。
子供を安心させる、父のように。
「おやすみ、A」
「おやすみなさい、志麻さん」
挨拶を終えると、意外にもすぐに志麻さんは私から離れ、背を向ける。
私も、すぐに彼の反対側を向き、眠ることにした。
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あおい ��(プロフ) - 占ツクやり始めたときむっちゃこの小説ハマってました！再会できた…！！ (2020年7月19日 16時) (
レス) id: 119598e8b4 (このIDを非表示/違反報告)
羽飛(プロフ) - 通りすがり鳥さん» ( ﾟдﾟ)ﾊｯ!ミスでした、ありがとうございます！こっそり直しておきますねw私は愛してま（殴 (2019年3月6日 15時) (レス) id: 56a129691b (このIDを非表示/違反報告)
通りすがり鳥 - あの、32ページの夢主さんが勝ったところスマブラになってます(小声。 わざとでしたらすみません。 好きです。(突然の告白 (2019年3月5日 16時) (レス) id: 86c8c9bd63 (このIDを非表示/違反報告)
羽飛(プロフ) - ゆっさん＠志麻リスさん» おいでませ志麻リスさん！！私は志麻さんのた行が好きです！（一日で！ありがとうございます！甘い話にも気合いを入れて頑張ります！ (2018年11月30日 22時) (レス) id: 56a129691b (このIDを非表示/違反報告)
ゆっさん＠志麻リス - 志麻リスです!!!!!面白かったです!（甘い話が特に）1日で前編と後編一気に見ました！更新待ってます！ (2018年11月29日 18時) (レス) id: 2296e0564f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：羽飛 | 作成日時：2018年11月2日 19時
