【d!】拝啓桜の下で眠る君へ (ページ20)

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案内役の居ないまま、ずっと続く廊下を真っ直ぐ歩けば

中庭のような場所に着いた。

自分の見た事のある作物もあれば水を張った畑(？)に初めて見た作物も植えられている。

そして真ん中には葉のついていない一際目立った大きな木。

『おっきいなぁこの木。』

ひと「桜っていうんだ。この木。」

『おわっ！』

後ろから声がして、驚いて振り向けば

ひとらんらんさんが居た。

ひと「ちょっ！びっくりするじゃん！大声出すなよ！」

『後ろから声掛けられたら誰でもびっくりするやん！』

どうやらひとらんらんさんはビビりなようだ。

『それより、桜っていうん？この木。』

ひと「そ。俺のいた国にある木でね。ここの国は環境が似てるから育ちやすいみたい。あ、この水張ってる田んぼって言う奴に植えてるのも故郷の作物なんだ。」

『そうなんや。』

ひと「桜は、春になったら綺麗な花を咲かせて、俺らはいつもここでお酒飲んだり、料理食べたりして話したりするんだ。」

『楽しそうや。』

ひと「春になったらみんなで騒ごう。絶対楽しいからさ。」

俺の事を仲間だと認めてくれているようで、嬉しかった。

『うん。楽しみやなぁ。皆と騒ぐん。』

ひと「そうだね。」

まだ冬になったばかりの肌寒い季節に、
のどかな桜の咲く春に想いを馳せる。