あの人は婚約者、あの人は…結ばれない好きな人 2【マレウス・ドラコニア】【ヴィル・シェーンハイト】 (ページ47)

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2ｰ44頬の痛みページ47

学園長室から出た私は、必要最低限のものだけ鞄に詰めて帰る準備をした後でマレウス様とリリア様だけでなく、シルバーくんとセベクくんも含めて部屋に呼び出した

「A様が俺達を集めるなんて初めてのことですね」

「ま、まさかA様の身に何か危険なことでもっ…？！」

初めての事でそわそわしている2人に対して、マレウス様は大方気付いてるみたい。リリア様は……もう察しているんだろうね、顔に緊張が走っている

……悪いのは貴方じゃありませんから

「…まずは、集まってくれてありがとうございます。そして、マレウス様」

「あぁ、何だ？」

マレウス様の方へ足を進め、目の前で止まり

バチンッ！！！

私が出せる力の限りで頬を叩いた

「「「？！？！」」」

「……は？」

マレウス様は、何が起きたのか理解していない様だった

「A様！！若様になんて事をっ…！！！」

「！！マ、マレウス様、頬が…！！」

「A、お主…」

詳しく事情を知らない2人は、困惑しながらも私に対して怒りを覚えている

リリアさんは驚きのあまり硬直し、叩かれたマレウス様はヒリヒリと痛む頬をそっと撫で、私を呆然と見つめていた

「痛いですか？なら良かったです。貴方にはその痛みを味わって欲しかったので」

表情を変えずに淡々と話す私は、ヴィランに見えているのだろうか

「この報復はいずれ来るでしょう。でも、後悔はしません。痛いのは、私の日常なので」

でも、ヴィランは私じゃない

「とりあえず…叩けてスッキリしたので話を進めましょうか。マレウス様にとっては吉報でしょうね、私にとっては悲報ですけれど」

「お、お待ちください！話に着いて行けません、叩いた理由を説明して、若様にちゃんと謝罪して下さい！！！」

セベクくんは私の両肩を掴み、謝罪するように説得してきた

「セベクくん、落ち着いて。まずは話を聞いて欲しいの」

「でも先に」

「聞きなさいと言っているのが聞こえないの？今は同郷の仲間としてじゃなく、貴方が慕う方の婚約者として言っているのよ。分かったなら離れなさい」

「っ……申し訳ございません。ご無礼をお許しください、A様」

「…分かったならいいわ。まず、私は他の生徒より先に実家の方へ帰らせてもらいます。」

To Be Continued⏩