波立つお茶会。1 ページ26
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代わり映えしない点数を滲ませている返却された再生紙を勢い良く破り捨てる。ヒラヒラと細切れになったそれは吸い込まれるように芥箱に落ちていった。
くしゃっと頭をかいて、ついでに飲み終えたばかりのペットボトルも投げ捨てた。
「何やってるんだ?」
暫くその場に佇んでいると、後ろから声をかけられる。咄嗟のことに驚いて声の主の方へ振り向けば、壁に身体を預け微笑を湛えていた。
見られた。
よりにもよってトレイくんに。
トレイくんが何処から見ていたかは分からないが、声のかけ方からして途中から来たに違いないなかった。足音すら気が付かなかったのかおれは。
「ゴミ捨ててただけ…だけど」
笑顔を浮かべて当たり障りの無い返答をする。大丈夫。全くもって嘘をついてはいないから、ボロを出さなければ大丈夫だ。
動揺を隠すと同時に、さっきの事について余計な詮索をされるのは好ましくなかったので、トレイくんが口を開く前に「トレイくんは?」と問い返した。そんなおれに違和感を抱くこともなかったトレイくんは「Aを探してたんだ」とさらに続ける。
「今日は部活もバイトも無いって言ってただろ。どうせならこの間の御礼も兼ねて、何でもない日のパーティーに招待してやろうっていう話を前々からリドルとしてたんだ」
「それが今日だってこと…?いくら何でも急すぎやしない……?」
あの真面目なリドルくんが事前に了承を得ずに、招待することを許可するなんてそんなことある?思っていたことが顔に出ていたらしく「人生には驚きが必要だろ?」と妖しく口端を上げられて、主犯はトレイくんかとすんなり納得してしまった。リドルくんは怪我を負ってから甘くって……怪我!!??
「怪我まだ完治してないんじゃないの!?」
「怪我?あぁ…ユニーク魔法でちょちょいのちょいだ。あ、たった今切れたがな」
「オイオイオイオイ」
ケロリとしていたモノだから、すっかり忘れていたがトレイくんはまだ怪我人である。マジフト大会頃には支障の無い程度に回復したが、ひねり癖がついてしまうので安静を言い渡されていたのに!
そしてふと冷静になる。態々このタイミングで魔法が切れる意味を。
「はァ…中々悪どい招待だな」
「ははっ言い忘れたが、ゴミの分別はしっかりしなきゃ駄目だぞ」
眼鏡の端を持ち上げて、心底真面目な声音で諭される。ひとつため息をつきトレイくんの肩を背負って歩いた。
芥箱には"PET"の文字が刻まれていた。
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27(にな)(プロフ) - 無名ちゃんさん» 無名ちゃんさん。コメントありがとうございます。はわわ、そう言っていただけで嬉しいです、、、、長ったらしく会話文あまりないので、受けがあまりよくないのかなと考えていたので良かったです涙。励みになりました、、、是非ともご贔屓にお願いします。 (2020年7月18日 19時) (レス) id: 7dc834a05f (このIDを非表示/違反報告)
無名ちゃん - 初めまして!!コメント失礼します!!あああ、もう文章の表現がお上手というか原作沿いなのにここまで違和感なくオリジナル要素入れられるの尊敬します!!これからも頑張ってください!応援してます! (2020年7月18日 18時) (レス) id: 760416d1ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:27(にな) | 作成日時:2020年7月9日 18時