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現在ゾムを囲むように立っているのは見覚えのある顔ぶれだった。私とコネシマとゾムが出会った日、ゾムをリンチしていたあの嫌味な貴族とその取り巻きたち。また飽きもせずに無抵抗のゾムを好き勝手したのだろう。
「……これは重大な規律違反だって分かっててやってンの」
私は存外ゾムのことを気に入っていたらしい、普段よりもずっと低い声が出る。
「たかだかスラム出身のゴミが死んだくらいで教官も気にも止めやしないさ。なあ、エリザ・アーノルド。調べさせたんだ。キミ、元はただの孤児なんだって？ 男のフリなんかさせて実の息子の代わりに養子を戦場送りにするなんてアーノルド家は貴族の恥だな！」
ハハハハ！と蛆の湧くような笑い声が脳に響く、純血主義者はこれだから嫌いだ。血統と名誉と権力のことしか頭にない、嫌な意味での生きた化石とも言えるだろう。
何か言い返してやるかと口を開こうとした矢先、私は視界に入ったその姿に思わず目を見開く。
「……ナア」
「ッうわ、！！ な、な、なんでお前まだ立ってるんだ！！」
立てるのもやっとだろうに男の後ろに左脚だけでぼぅ……と幽霊のようにゾムは立っていた。首謀者の男もまさかゾムが立てると思っていなかったのか、腰を抜かして見上げている。
それでもゾムの自然の木々を押し込めたような瞳はザワザワと音を立てて、ただ真っ直ぐと私を見据えていた。
「殴る許可、くれへん？」
ﾌｽ､と思わず変な笑い声が出た。
お利口な犬のように私からの“よし”を待っていたこの男の目には確かな殺意が孕んでいる。殺す許可ではなく殴る許可なのもまたいじらしい、ゾムは自分よりも弱い私に手綱を握らせてくれていた。
なるほどそれが彼なりの私への信頼だというのなら私は喜んで応えよう。
狂人め、と思わずあがる口角に私もどこか彼らに染められてしまったような気がした。
「───よし、殺す以外なら好きにしていいよゾム」
「ハ、ヒハハハッ、待ってましたァ……」
邪悪な笑い声を皮切りに、貴族達は生涯忘れられないであろう悪夢を見ることとなる。
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臓臓臓(プロフ) - 早桃さん» コメントありがとうございます！ゆっくりではありますがまちまちと更新していきますのでこれからも何卒よろしくお願いします！ (10時間前) (
レス) id: 982e9ff04d (このIDを非表示/違反報告)
早桃 - めちゃくちゃ好きな作品だ！作品の雰囲気とか作者さんの物語の描き方とかもう全てが好きです💖これからも無理せず更新頑張ってください！応援しています📣次の更新楽しみ！ (5月4日 9時) (レス) @page48 id: a1ce5d49cc (このIDを非表示/違反報告)
臓臓臓(プロフ) - モモモさん» コメントありがとうございます！！ 構想してたものをようやく見せることができて嬉しいです！のんびり更新ではありますが何卒ご愛読頂けますよう頑張って参ります〜！ (5月4日 1時) (レス) id: 982e9ff04d (このIDを非表示/違反報告)
モモモ(プロフ) - 最新話読みました...タイトル？回収最高です！手叩いて喜んじゃいました！本当に文章で魅せるのがお上手すぎてびっくりしちゃいました。更新楽しみにしてます！ (5月3日 22時) (レス) id: de8d799915 (このIDを非表示/違反報告)
臓臓臓(プロフ) - 無案のむあんさん» 嬉しいですー！！！意識してるところをたくさん褒められるの嬉しいです！これからも何卒ご愛読お願いします！ (5月2日 2時) (レス) id: 982e9ff04d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：臓臓臓 | 作成日時：2024年1月5日 8時
