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食堂ハルカゼにて。
本当に思っていたよりもずっと簡単に街に抜け出せたことが驚きだ。行き交う街の人の間を縫って、3人でオスマンが言っていた食堂ハルカゼにてようやく“美味しい”食事にありつけた。こんなにただの食事に感動したことはない、一生の思い出になりそうなくらいには感動した。
それから少しして枯れ草くんと呼んでいた男が私たちに感謝を述べるのと同時にゾムと名乗った。人懐こくギザギザの歯をみせながらペカペカと笑う様子は愛らしくて、どこか年下の子を相手しているような気分になる。
テーブルに置かれたご飯をガツガツと口に流し込むように、私もコネシマもお腹がいっぱいになって休憩している中でまだまだ食べていく。余程お腹がすいていたのだろう。顔にソースをつけながら食べる姿はいっそみていて気持ちが良かった。
「ゾムくん口についてるよ」
「ァ、あ、ごめ……汚いよな食べ方、」
突然つつかれたカタツムリのように小さくなるゾムに私は思わずおろおろとしてしまう。
しまった、怖がらせるつもりじゃなかったのに。
「き、気にしてないよ。ただついてるのを教えたくて、気にせずいっぱい食べてほしい。軍人になるならそんなに細いと大変だよ」
「そやぞー、そんな痩せとるからあんなチンポジも定まってなさそうな奴らに負けんねん。食え食え」
……？ ちんポジが定まってなさそうな奴らという表現はよく分からないが、不味くても食べていた私たちと違って一切口にできなかったゾムは痩せすぎているのは間違いなかった。沢山食べて大きくなれ、だなんてどこか母親ヅラをしながら食事をすすめれば彼は綺麗な目を嬉しそうに細めた。
「……やさしいなあ、お前ら」
ひひ、と笑ってまたスプーンを口に運んで今度はゆっくりと噛み締めるように彼は食事を続ける。
「おれな、元々スラムで暮らしとって、お腹すいてうろうろしてたら優しい老夫婦に拾ってもらってん。おれの、今の親……なんやけど。その人ら小さな食堂営んでて、それからずっと美味い飯食わせてもらってたから舌が肥えてもうてさ……不味い飯を食うとスラム思い出して吐いてしまうっていう……情けない話なんやけど」
「へえ、じゃあ軍人になるのもその人達の為なんだ？」
「お、おん……」
いい話だし、いい子だ。照れ臭そうに笑う彼はご飯を食べたからか血色もよくなって顔色がいい。こういう人間はすきだ。なんだか彼ともいい友人になれそうじゃないかと私は笑った。
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臓臓臓(プロフ) - 早桃さん» コメントありがとうございます！ゆっくりではありますがまちまちと更新していきますのでこれからも何卒よろしくお願いします！ (5月8日 5時) (
レス) id: 982e9ff04d (このIDを非表示/違反報告)
早桃 - めちゃくちゃ好きな作品だ！作品の雰囲気とか作者さんの物語の描き方とかもう全てが好きです💖これからも無理せず更新頑張ってください！応援しています📣次の更新楽しみ！ (5月4日 9時) (レス) @page48 id: a1ce5d49cc (このIDを非表示/違反報告)
臓臓臓(プロフ) - モモモさん» コメントありがとうございます！！ 構想してたものをようやく見せることができて嬉しいです！のんびり更新ではありますが何卒ご愛読頂けますよう頑張って参ります〜！ (5月4日 1時) (レス) id: 982e9ff04d (このIDを非表示/違反報告)
モモモ(プロフ) - 最新話読みました...タイトル？回収最高です！手叩いて喜んじゃいました！本当に文章で魅せるのがお上手すぎてびっくりしちゃいました。更新楽しみにしてます！ (5月3日 22時) (レス) id: de8d799915 (このIDを非表示/違反報告)
臓臓臓(プロフ) - 無案のむあんさん» 嬉しいですー！！！意識してるところをたくさん褒められるの嬉しいです！これからも何卒ご愛読お願いします！ (5月2日 2時) (レス) id: 982e9ff04d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：臓臓臓 | 作成日時：2024年1月5日 8時
