190話 ページ29
賁「分かりました。では…元帥にはあの山を越えて下さい。山の裏は、魏軍の背後に通じています。そこから奇襲をかければ、呉鳳明を虜とすることが出来るでしょう」
『ふぅっ、了解しました…王賁将軍』
Aは10万の兵と、アルサケスに苻雄、慕容垂を引き連れて、山越えを開始した
まだ冬と言うこともあって途中の山道は雪に埋まり、谷間に落ちたり、凍傷になって脱落する兵も現れた
土地勘に長けたアルサケスがいなければ、全員山で死んでいた可能性もあった
最終的に7万の兵が、呉鳳明に気付かれないギリギリの位置に辿り着いた
『よくここまで頑張ったな。三刻程休んだら、魏軍の背後を強襲するぞ』
秦軍の士気が高まる
そして…Aは呉鳳明の背後から猛攻を仕掛けた
「鳳明様!背後から秦軍です!」
鳳「バカな!?あの山を越えたと言うのか!?」
Aの猛攻に呉鳳明は、対処しようとする
賁「敵の陣形が崩れた…恐らく元帥が魏軍の後ろを襲っているんだ!俺達も攻勢をかけ、南北から呉鳳明を挟撃するぞ!」
王賁は敵の動揺を見逃さず、自身も攻勢をかけて、呉鳳明を挟撃した
これによって魏軍は総崩れとなり、呉鳳明は苻雄の手によって捕縛された
Aは、捕らえられた呉鳳明に話しかける
『鳳明将軍、貴方の実力は合従軍に対峙した時から存じている。大王様は貴方の力量を、存分に発揮させてくれるだろう。どうだ?秦に仕えてはみないか?きっと貴方の父である呉慶も、それを望んでいる筈だ』
呉鳳明は憎しみを籠めた眼で、Aを睨みつける
鳳「貴様の様な娼婦が…我が父を騙るな!秦の犬共に、力を貸すわけがなかろうが!」
『呉鳳明…言葉に気をつけろ。惜しみはしたが、私の配下である苻雄の兵器発明力はお前を遥かに凌ぐ。軍略とてお前以上の奴は秦にゴロゴロいる。別にお前は絶対に必要という訳ではないんだぞ』
鳳「バカにするなよ股婦が!俺は魏火龍にして、魏軍第一将の呉鳳明!我が命…元楚の臆病者に屈する術など持たぬわ!!」
『チッ…バカが…!コイツを釜茹でにしろ!』
呉鳳明の前に、油が山と注がれた釜戸が用意される
『お前をブチ込んだら、さぞいい気分だろうな』
垂「そうだし!醜い悲鳴を上げて死ぬんだね!」
鳳「夷狄共が…中原の将の死に様…よく見ておけ!」
呉鳳明は油に浸かり、薪に火が付けられる
鳳「(父上…大師霊凰…魏国を…故郷を守れず、申し訳ありません…)」
呉鳳明は油で煮られ、この世を去った
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作者名:やなゆ | 作成日時:2022年4月29日 9時