過去編7話 ページ29
大阪桐蔭の首脳陣は地区大会が始まったばかりの時とは真逆に、ホクホク顔を浮かべていた
「いやー、黒宮があそこまでやるとは!」
「2回戦の近江戦では被安打2の完封勝利!打者としても2本塁打!」
天理戦の活躍からもAの勢いは止まらず、初先発を完封で飾って見せたのだった
これに触発されたのか、準決勝…神戸国際大付属相手に3年生が中心となったスタメンでの試合でエースが7回2失点、2年生が無失点に纏めてみせた
「中村、丸山、増田達1年生の活躍も大きかったですし」
2回戦と準決勝で活躍したベンチ入り1年生は、決勝戦のスタメンに名を連ねた
勿論、先発投手はAだ
大阪桐蔭は勢いのままに決勝を迎えた
相手は和歌山で無敵を誇る超名門校…智辯和歌山だ
試合前に智辯和歌山の高嶋監督がこちらにやって来る
「お久しぶりやなぁ西谷さん。そちらの噂はこちらにも届いてますわ」
「お久しぶりです。高嶋監督」
「それと…隣にいる別嬪さんがAちゃんやな」
『は、はい!黒宮です!』
「天理と近江を悠々打ち破ったそうやないの」
『まぐれですよ!先輩達が助けてくれたから…』
「謙遜せんでええ。君の力は分かっとるつもりや。とはいえ、甲子園とは何の関係もない大会…怪我せず気楽に戦おうや」
そう言うと、高嶋監督はベンチに戻る
『何か…話には聞いてましたけど、威厳のある方でしたね』
「まぁな。あの人は歴代最多の甲子園勝利記録を持つ人や。故に戦い方というものを知り尽くしとる。ノックだって、ウチのどのコーチよりも上手いで」
『…!』
「チームだって、俺は天理や近江よりも遥かに格上やと思とる。だけど、最強はAや。今日は全国の奴らにそれを知らしめて来い!」
覇気をみなぎらせて、試合に望む
1回表の攻撃は、Aが智辯和歌山を三者凡退に抑える
だが今まで倒してきたチームとは違い、相手は動揺するどころかより気合いを滾らせる
その裏、中村が2ベースを放ってチャンスを作り、4番のAに打席が回る
今大会打撃絶好調のAに対し、高嶋監督は引っ張りに対応したシフトを敷く
これが功を奏し、Aは一二塁間に強烈なヒット性の当たりを打つも、シフトによって阻まれてしまう
『チッ…チャンスだったのに…』
「アカンなぁ、西谷さん…今までの大阪桐蔭のスタイルじゃあ、あの子の力を最大まで発揮させることは出来へんよ」
高嶋監督が含み笑いを浮かべた
Aの前に百戦錬磨の名門が立ち塞がった
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タンさん(プロフ) - 毎回いいところで次回に続くなので、非常に焦らされながらこれからも楽しみにしています! (9月3日 23時) (レス) @page10 id: 85b052b1c5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:やなゆ | 作成日時:2023年8月26日 17時