過去編1話 ページ23
2014年8月…孤児院に帰ってきたAはゲンナリした顔を浮かべていた
「あ、お帰りなさいA先輩!今日もスカウトが…」
『ただいま根尾くん。三重高校ってとこなんだけど…断ってきた…』
所属するチームの後輩で、遊びに来ていた根尾がAを迎える
「えー!?あそこも強豪校ですよ!?今年の甲子園では大阪桐蔭を決勝であと一歩まで追い詰めた…」
『確かにそうだけどね…』
Aは理由を語る
草野球をしていた所を西谷監督に誘われ、中学2年の時に岐阜のボーイズリーグに入ったAは、投打に圧倒的な力を見せつけて、2年連続5冠を達成した
その実績と史上初の男子部門の女子生徒と言うこともあり、スカウトが殺到していたのだ
その日見学に行った三重高校は設備は悪くなく、今年の夏は大阪桐蔭を追い詰めたということもあり、Aはそれなりに期待していた
だが学校に訪れた際、野球部の上級生がわざと誰も居ない所にボールを打ち、1年生がそれを球拾いする…という光景を目撃したのだ
上級生の振る舞いは下級生を鍛えるのではなく、憂さ晴らしをしているかのようだった
この光景にAの期待が一気に盛り下がる
タダでさえ嫌な気持ちだったのに、三重高校監督の説明はAを決定的に失望させるのに充分だった
·1年生は例外なく公式戦には出させず、基礎練を徹底させ、どんなに早くてもベンチ入りは2年の夏から。スタメンは上級生が引退した後
·フォームはこちらの言うようにしてもらう
·先輩の命令は絶対で、逆らう事は基本許さない
他にもあったが、特に嫌悪感を示したのはこの3つであった
実力不足や怪我ならまだしも、下らない伝統で試合に出られないなど、時代錯誤もいい所であった。
結果を残しているにも関わらず、まるで入部が決まったかの様な態度でフォームに口出ししてくるのも気に入らない
先輩皆が人間の模範になれる人達なら絶対服従もいいが、ここの上級生は、実力が上の下級生を妬んでイジめる者も多くいる。そんな先輩達に従うなど土台無理な話であった
話を続ける監督の言葉をAが打ち切る
『すみませんけど、話にならないんで失礼します』
「!?何が気に入らないんだ?」
Aを欲する三重の監督が引き留めようとする
『何でまだ指導者と認めてもいない人にフォームやスタイルまで指図されなくちゃいけないんですか?型に無理やりはまらせる為に試合に出れないなんて、バカらしくなるんですけど』
Aはそう言い捨てる
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タンさん(プロフ) - 毎回いいところで次回に続くなので、非常に焦らされながらこれからも楽しみにしています! (9月3日 23時) (レス) @page10 id: 85b052b1c5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:やなゆ | 作成日時:2023年8月26日 17時