いっそ嫌ってください【鬼滅の刃】

いち ページ2

・









……あれ、おかしい。
いつまで経っても人が来ない。





こ ん な ん あ る ?





痺れを切らした目の前の咲ちゃんが、段々とヤケクソになって叫んでる、というか怒鳴ってる。





それでも人が来ない。
いや、これはまずい、というかいくらなんでもおかしくない?






人が悲痛な叫び声を上げてるんだよ?
これじゃいくらなんでも可哀想すぎる。






仕方なく、私も代わりに叫ぶことにした←









「だ、誰かー!いませんかー!!
……え、もしかして本当に誰もいないの？」









段々と小さくなる声。
だって咲ちゃんもめっちゃ叫んでるのに反応がないし……。





つい、私も不安になってきた。
流石にコレはないでしょ。









「どうしたのA？大丈夫？」


「えっ」









ガラリと襖を開け、ひょっこりと顔を覗かせる時透くん。




……え、キミずっとその部屋にいたの？
なら咲ちゃんの叫び声聞こえるくない……？




聞こえない、なんて。
そんなこと……。









・









……もしかして時透くん……。
耳がめっちゃ悪いんじゃないの……？




時透くんのあまりの難聴さに、思わず
オロオロとする私。




この年で難聴なんて……!
いやでも難聴に年は関係ないか。




それでも流石にコレは、日常生活に支障をきたしてしまうレベルだ。
私が何とかしなくては……。









「ど、どうしようか……、とりあえず後で
しのぶさんに診てもらおう？ね？」



「呼びましたかAさん」









ぬ、と突然後ろに現れたのはしのぶさん。
……いつからいたのかは分からないが、危うく
臓物が口からこんにちはするとこだった。




すごく心臓に悪い……。









「し、しのぶさん……、実は、その」









取り敢えず出来るだけ弁明はしてみよう、と
私が話そうとしたら、咲ちゃんは焦ったように叫んだ。




……嫌な予感。









「助けてください！……私……私！！
い、いきなりAさんが、刺してきて……！
私、怖くって……！」









あ、オワタ。
私これ詰んだわ。









・

に→←プロローグ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す