いっそ嫌ってください【鬼滅の刃】

なな ページ8

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「倒れたって聞いたけど…大丈夫か？A」









こっちを不安そうに見つめてくる竈門くん。
そんな彼の手は自然と私の手を握っていた。




彼はあれから、しのぶさんが出ていくのと
入れ違いに、私の様子を見に来てくれた。





私が「お見舞い？うれしー」と笑うも、彼が
その堅い表情を崩すことはなかった。




彼は、そんな不穏な表情のまま、私を見つめ、こう言った。









「最近は……その、ストーカーは大丈夫か？」




「……え？」




「俺は心配しているんだ、A。
今回倒れたのも、ソレによるストレスが
溜まっていたからじゃないか？」









彼は私の手を握ったまま、自身のおでこに
こつん、と当てがう。



やだ何ていい子なの。
仕事も忙しいだろうに、わざわざ私に会いに
来てくれるなんて。



完璧すぎる可愛らしい仕草に思わず胸が
キュンとときめいた。



私今なら感情だけ蜜璃さんになれる。
そんな気がする。



何だかさっきまで緊張して、強ばっていた
身体が安心してしまった。
まるで、ぷつりと糸が切れたよう。









「心配してくれてありがとう、嬉しいよ！」









緊張が途切れたのもあって、私はとびきりの
笑顔でお礼を言う。



すると彼は呆けたような顔になるかと思えば、
途端に真っ赤になった。









「こ、このくらい、仲間として当然だ……
また何かあったら俺に言ってくれよ？」









途切れ途切れになりつつ、彼は私に
恥ずかしそうに言った。



可愛いし、本当にいい子だなぁ。



そんな彼に対して、私は「うん」と答える。
その後は少し話してから、彼を部屋から見送った。



……その後で、気づいたのだが。








私、あの子にストーカーのこと話したっけ。









★









「うーん……取り敢えずは先に咲を
始末した方がよさそうだな……。
まさか、直接危害を加えてくるなんてな。
コレがAに直接怪我をさせていたなら
絶対に許せなかったんだが……」









彼は手に持ったA宛ての"手紙"を、
ビリビリに破いた。




そして、そのままゴミを見るような淀んだ目で、その"手紙"を燃やす。









「本当に気に食わないな、"ストーカー"」









誰も聞こえないのをいいことに、"可愛いらしい"いい子"の筈の男は、そんなことを呟いた。





しかし、既に部屋で呑気に寝ているAは、
知る由もないのだった。








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