145名目 揺るがぬものXI ページ46
江戸の中心部にあるターミナルは、かぶき町から走っていくには遠い。
このルートなら万事屋の前を通ることになるから、銀時のスクーターを借りて行こう。
たった今、居島との通信が切れた電話を万事屋へと繋ぐ。
『──はーい、もしもし、万事』
「銀時か！詳しいことは後で説明するから、取り敢えずスクーターを用意してスナックの前で待っていてくれ！」
『は！？スクーターって、』
「３分で支度しろ！頼んだぞ！」
俺は容赦なく電話を切ると、しつこく追ってくる真選組の輩に爆弾を投げておく。
「……悪く思うなよ」
鉄臭い味のする唾液を飲み込み、棒になった足を懸命に動かし続けた。
────
──
万事屋前。
俺の言い付け通り、銀時はスクーターに跨がって待っていた。
「銀時！」
一声かけてから、俺はスクーターの後ろに飛び乗った。
「っわ、いきなり乗んなよ！」
「いいから発進しろ！行き先はターミナルだ！」
まだ真選組が近くまで来ていないことを確認し、銀時の背中を叩く。
「俺に指図すんな！」
大きなエンジン音と土埃を巻き上げて、スクーターは発進した。
スクーターはジョギングしていたおじさんを追い越し、風を切って進んだ。
火照った体を吹き付ける風で冷やし、呼吸を整える。
「……Aが居島に拐われた」
話せる程度に落ち着いてから、俺は呟くように言った。
すると銀時は行儀悪く舌打ちをかました。
「くそ……一足遅かったか……。今日警察にチクっとくべきだったな」
「今日はお前に仕事が入っていたのだから仕方あるまい。……こうなってしまった以上、無事を祈り、一刻も早くターミナルに駆け付ける他ない」
「ターミナル、ねェ……。なんか嫌な予感がするぜ」
「奇遇だな、俺もだ」
それ以降会話はなく、俺達を乗せたスクーターは中心部へと入っていった。
「……渋滞……！」
不運なことに道路は渋滞だった。
こんなところで時間を食ってる場合ではないのに。
「銀時、車と車の隙間を縫って前に進めぬか！？」
「アホか！んなことしたら、また免停食らうっつーの！」
「──桂ァァァ！！」
後ろからの雄叫びに振り向けば、車を３台挟んだ向こうに『御用』と書かれた赤い提灯の光が見える。
「っ……！銀時、ここまでで結構だ！ここからは自分の足で行く！」
「そうか、轢かれねェようにな！」
「ああ！」
スクーターから隣の車に飛び移ると、車をはしごしてターミナルへと急いだ。
──頼むから、無事でいてくれ。
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Physics(プロフ) - モモうささん» コメントありがとうございます！松陽先生視点の過去篇は力を入れて書いたので、そう言っていただけて嬉しいです！更新がゆっくりですが、これからも宜しくお願いします！ (2017年6月30日 19時) (
レス) id: 28db851a9c (このIDを非表示/違反報告)
モモうさ - 過去編の時の先生の回想シーンで、グッときた…。それに、桂が可愛い！「コタちゃんじゃない。かつ…」が、気に入りました！ (2017年6月27日 23時) (レス) id: 15c04f38df (このIDを非表示/違反報告)
Physics(プロフ) - 獅子の子さん» ほんとですか？よかったです！ウブな感じに描きたい回だったので、グワッときてもらえているようで、ほっとしました！ (2017年6月18日 21時) (レス) id: 28db851a9c (このIDを非表示/違反報告)
獅子の子(プロフ) - あ''ぁぁぁ、桂可愛いよ尊いよ！ ちょっとこの回でグワッときました、グワッと(語彙力) (2017年6月18日 12時) (レス) id: d0488b3ee5 (このIDを非表示/違反報告)
Physics(プロフ) - マヨ方さん。さん» 綺羅凛子に笑っていただけてよかったです！相変わらずの亀足更新ですが、よろしくお願いします！ (2017年6月9日 20時) (レス) id: 28db851a9c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Physics | 作成日時：2017年4月23日 18時
