104名目 団体客来店�� ページ5
＊
ありふれた日常に帰って来た数日後の朝、郵便受けを覗くと、一通の手紙が入っていた。
誰からだろう？
心当たりがないなあ、と思いながら差出人欄を見て、ぎょっとする。
そこには、おどろおどろしい行書体で『真選組』と書かれていた。
え、なんかしたっけ？まさか、ついにバレたか……。もしかして、この前、晋助が来たのを誰か見てて密告したとか？
恐ろしい予想に、心臓が早鐘を打つ。
見ずにすぐさまゴミ箱に捨てたかったが、さすがにそれは不味いので、恐る恐る手紙を開いた。
『前略 小鞠庵殿
突然の文、失礼する。
かなり急ではあるが、明日、XX日の午前10時から小鞠庵にて将軍様と真選組の親睦会を行いたく、文を送らせてもらった。
将軍様直々に小鞠庵にて執り行いたいと仰っていたことを念頭に置いて、事に当たってもらいたい。
無論、店は朝から貸し切りの状態にしておいてもらう。
報酬はそれなりに用意してあるので、宜しく頼む。
時間がないため、ここで失礼させてもらう。
ではまた。
草々』
一度読み終えてから、思わず何回も手紙を読み返してしまった。
え……なんか……予想とは違う方向でとんでもないことになってるんですけど……。
「今日は早めに店を切り上げて、明日の準備しなきゃだな……」
独り言を呟き、私は自分にのし掛かる重責を改めて感じたのだった。
〜〜〜〜
・
「将軍様は本当に物好きなお方だな。茶屋で親睦会なんて、聞いたこともねェ」
小鞠庵に向かって車を走らせながら、土方はタバコに火をつけた。
隣の原田は運転しながら、苦笑いをこぼす。
「ま、キャバクラやら遊郭やらに行くよりかは、気が軽いんじゃないですか？」
「まあな。近藤さんやとっつぁんは、キャバクラ行けなくてさぞがっかりしてんだろうけどな」
「俺ァ仕事をサボれるならどっちでもいいですけどねィ」
あっけらかんとした口調でそう言った沖田を、ミラー越しに土方は睨んだ。
「これも立派な仕事の一つだ。サボるんじゃねェぞ」
「へいへい、じゃ、俺ァ松宮がボロを出さねェか見張ってやす」
「んなことしてねェで将軍様とコミュニケーション取れよ」
「無理でさァ。俺、こう見えて人見知りなんで」
土方は何も言わず、黙って溜め息をついた。
それから、沖田の隣でいじけている近藤を見やる。
「近藤さん、店着くまでに機嫌直してくれよ」
「んなこと言ったってよォ……なんでキャバクラじゃねーんだよ……ああお妙さァん……」
顔を両手で覆って、大袈裟に嘆く近藤から視線を外し、土方はもう一度溜め息をついた。
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Physics(プロフ) - モモうささん» コメントありがとうございます！松陽先生視点の過去篇は力を入れて書いたので、そう言っていただけて嬉しいです！更新がゆっくりですが、これからも宜しくお願いします！ (2017年6月30日 19時) (
レス) id: 28db851a9c (このIDを非表示/違反報告)
モモうさ - 過去編の時の先生の回想シーンで、グッときた…。それに、桂が可愛い！「コタちゃんじゃない。かつ…」が、気に入りました！ (2017年6月27日 23時) (レス) id: 15c04f38df (このIDを非表示/違反報告)
Physics(プロフ) - 獅子の子さん» ほんとですか？よかったです！ウブな感じに描きたい回だったので、グワッときてもらえているようで、ほっとしました！ (2017年6月18日 21時) (レス) id: 28db851a9c (このIDを非表示/違反報告)
獅子の子(プロフ) - あ''ぁぁぁ、桂可愛いよ尊いよ！ ちょっとこの回でグワッときました、グワッと(語彙力) (2017年6月18日 12時) (レス) id: d0488b3ee5 (このIDを非表示/違反報告)
Physics(プロフ) - マヨ方さん。さん» 綺羅凛子に笑っていただけてよかったです！相変わらずの亀足更新ですが、よろしくお願いします！ (2017年6月9日 20時) (レス) id: 28db851a9c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Physics | 作成日時：2017年4月23日 18時
