101名目 おかえりを聞きたい ページ2
・
「────!」
けたたましい目覚ましのアラームを止めようと、夢見心地で手を伸ばす。
何かを押したが、アラームが止まる気配はない。
闇雲に何度も叩いているうちに、だんだん目が覚めてきて、さっきから自分が必死に叩いているのは目覚ましではないことに気付いた。
ティッシュケースじゃん。つか、俺、目覚まし時計、壊したんだから、鳴るはずねェよな。じゃあ、このうるさい音は……。
「──ゃん、銀ちゃん!!」
掛け布団から顔を出すと、俺の上に馬乗りになっている神楽とばっちり目があった。
「……よォ、帰ってきてたのな…」
「今何時だと思ってるアルか」
「……おやじ」
「別にそんな寒い親父ギャグ聞きたくて訊いたんじゃないんだからネ、勘違いするなヨ」
「どんなツンデレだよ……。つか、そろそろ俺から降りてくんない?」
「イヤアル」
「どこでそんなビ●チ台詞覚えて来たんだ?あのハゲが泣くぞ」
「そういう意味じゃないネ!!銀ちゃんが起きるまで退かないっていう意味で言ったんだヨ!!勘違いすんじゃねーぞ、年中股間痒い奴!」
「痒くねーし!っあ、痛っ、蹴るんじゃねーよ!」
と言えば、ボコボコ俺の腹を殴る神楽さま。
根負けして、俺は布団から這い出た。
それから伸びをし、ふと気になったことを口にしてみる。
「そういや、お前、昨日のパジャマパーティーは楽しかったか?」
途端、神楽は急に上機嫌なになり、胸を反らした。
「アネゴとのパジャマパーティーはそりゃメチャクチャ楽しかったネ!!」
「へー、そりゃよかったな」
適当に相槌を打ちながら布団を三つ折りにして壁際に寄せ、神楽に目をやると、何故かアイツはまたご機嫌ナナメなお顔になっていた。
口をへの字に曲げ、ジトッとした目で俺を見ている。
「なんだよ……」
「銀ちゃんは?」
「あ?」
「銀ちゃんは昨日の夜、楽しかったアル?Aと、ちゃんと仲直り出来たアルか?」
本当はそのことを聞きたかったらしい。
なら最初からはっきり言えよ、と思ったが、俺がそんなことを言えた義理じゃないなと思い改める。
心配そうに俺を見上げる神楽に歩み寄ると、ぽんぼんとその頭を叩いた。
「んな顔しなくても、もう心配いらねェよ」
微笑んで言うと、神楽は頬の緊張を緩めた。
と、思ったら俺の手を払いのけた。
「子供扱いすんなヨ!心配してねェし!」
分かりやすいツンデレだ。
「へいへい」
朝飯の支度をすべく、寝室の襖を開ける。
「……銀ちゃん」
「ん?」
「おかえり」
「……ああ、ただいま」
102名目 いってらっしゃいの心→←100名目 ただいまと言いたい
84人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Physics(プロフ) - モモうささん» コメントありがとうございます!松陽先生視点の過去篇は力を入れて書いたので、そう言っていただけて嬉しいです!更新がゆっくりですが、これからも宜しくお願いします! (2017年6月30日 19時) (レス) id: 28db851a9c (このIDを非表示/違反報告)
モモうさ - 過去編の時の先生の回想シーンで、グッときた…。それに、桂が可愛い!「コタちゃんじゃない。かつ…」が、気に入りました! (2017年6月27日 23時) (レス) id: 15c04f38df (このIDを非表示/違反報告)
Physics(プロフ) - 獅子の子さん» ほんとですか?よかったです!ウブな感じに描きたい回だったので、グワッときてもらえているようで、ほっとしました! (2017年6月18日 21時) (レス) id: 28db851a9c (このIDを非表示/違反報告)
獅子の子(プロフ) - あ''ぁぁぁ、桂可愛いよ尊いよ! ちょっとこの回でグワッときました、グワッと(語彙力) (2017年6月18日 12時) (レス) id: d0488b3ee5 (このIDを非表示/違反報告)
Physics(プロフ) - マヨ方さん。さん» 綺羅凛子に笑っていただけてよかったです!相変わらずの亀足更新ですが、よろしくお願いします! (2017年6月9日 20時) (レス) id: 28db851a9c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:Physics | 作成日時:2017年4月23日 18時