四十八 ページ18
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(結局よく分からないや)
Aは首元の痕を隠すようにして、首巻きを巻いた。
坂本と銀時。
どちらも惹かれるものがあり、Aを迷わせていた。
彼らを弄ぶだけで、それに応えない自分が嫌だった。
「私って最低だ。ほんとに」
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「おい、帰るぞ」
道場に戻ると、何事もなかったかのように銀時はAを待っていた。
「Aちゃん。無理はするなよ」
そう言い、九兵衛は出口まで送ってくれた。
銀時に並んでAも歩く。
銀時は、月詠達に団子奢ってもらおうかななんて当たり障りのない話をしていて、それが一層Aの心を締め付けた。
「銀さ」
「あ、お前俺との決闘負けたろ。お前の奢りな」
「聞いて」
「みたらしに、よもぎに」
「銀さん」
Aは話を遮る銀時に抱き着いた。
銀時は話すのを止めたが、その目線を真っ直ぐにどこか遠くへ向けたままだ。
「ごめんなさい。私。銀さんの気持ち弄んでますよね…分かってます」
「…」
「でも、私今の自分の気持ちがよく分からなくて。それに銀さんだって私に聞きたいことあるだろうに、私全然言わないし、逃げてばっかりで。私」
「それ以上、Aのこと悪く言わないでくんない」
冷たい空気を裂くように、銀時は言い放った。
「お前が俺の気持ち含め、色々迷って考えてんのは知ってるよ。だからゆっくりでいい、焦んな。それまで俺と楽しくお茶してくれてたらそれでいーの」
銀時は両手でAの頬に触れ、顔をぐいと上に向かせる。
「次、俺の好きな女を悪く言ったら許さねえからな」
優しい顔でAに笑いかけた。
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月詠は警備から戻った時だった。
「Aは?」
「それがね」
Aは、少しだけ休みますとだけの書き置きを残して姿を消していた。
月詠がAの携帯電話に電話を掛けるも、音信不通だった。
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(逃げることをやめよう)
Aはかつて住んでいた山奥の村に来ていた。
正確に言えば、村の跡地。
今では廃れた家屋と枯れた田畑しかない。
廃れた家屋には多くの花が供えてあった。
Aはそこに近づき、手を合わせる。
「やっぱり来ると思ってたよ」
気配を察し、後ろを見ると、
「何でここに」
橙色の髪をした元恋人が手をひらひらと振りながら立っていた。
「少し話をしようか、A」
弧を描く目を見て、Aを身を構えた。
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作者名:Nattu | 作成日時:2021年1月27日 2時