四十四. 銀色の心情探求編 ページ14
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(嗚呼、気に入らねえ)
銀時達はひの屋を訪れていた。
久しぶりに見たAの首元には、真新しい首巻きがされていて。
それを嬉しそうに自慢するAがいた。
「あっ、Aさん、首元暖かそうですね。似合ってます」
「新八君、ありがとう。今より日光が当たらなくて済みそう」
「この子ったらこの前朝帰りしてきて。その帰りにつけて帰ってきたのよ」
やあね、とにやにや笑う日輪に、弁解するA。
月詠がやれやれと言ったように、煙をひと吹きした。
「なあ、月詠。あの首のって誰から貰ったやつ?」
「あれか?確か、陸奥殿の上司…坂本殿からじゃったと思うが。Aが朝帰りする前日に、陸奥殿達が所有する船に泊まるからと連絡が入ってきていたのてな」
「ふうん。泊まりねえ」
食べかけの団子をむしゃくしゃした気持ちを閉じ込めるよう、口に放り込んだ。
(面白くねえ)
首元を見るだけで、眼鏡を掛けたあの男が余裕ある表情で、銀時を牽制しているように見えて、銀時を苛立たせた。
かといって、Aの喜んでいる姿を傷つけたくはなくて、首巻きを無理矢理剥ぐのはやめた。
「銀さん」
むくれながら、団子を食べている銀時に日輪が近づく。
「やきもち妬くってことは、相手に敵わないって思ってるから、妬くのよ」
「別に妬いてなんか」
「銀さんも何か行動した方がいいんじゃない?」
銀時の言葉も聞かず、日輪は助言した後に会話の輪へと戻って行った。
(行動ねえ…)
どうして良いか分からず、戸惑う銀時がいた。
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「副長!新たな情報が入りました」
音沙汰もなかった事件に進展を知らす一報が入る。
山崎が持ってきたのは現場で発見された子供用の靴だ。
「この靴、調べたところによると地球の物じゃないみたいなんです」
「地球の物じゃない…つまり、天人が持ち込んだ物か」
「そうです。それで詳しく調べたところによると、烙陽の物だそうです」
「烙陽…ってことはつまり」
襖が開く音と共に
「あのチャイナと同じ種族、夜兎の子ってことですかぃ」
と怪しい笑みを浮かべ、沖田は言い放つ。
そして、
「土方さんが疑ってるAって女。チャイナと一緒でちっこくて色も白え。…あいつも夜兎だったりしてね」
と呟く。
土方は引き続き、山崎に調査、検証を続けるよう命じ、煙草に火を付けた。
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作者名:Nattu | 作成日時:2021年1月27日 2時