短いようで長い糸。 (ページ30)

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＃30 ページ30

今日の放課後は特に憂鬱。

真正面で真太郎と会うから。

話しにくくても話さなければいけないことだってある。

いつもは、幼なじみ。

ここでは、マネージャーという立場。

「A、あと少しで休憩に入るから準備しておいてくれ」

『分かりました！大坪さん！』

タオルやドリンクを出して、準備を進める。

ｷｭｯｷｭｯというバッシュの音が心地いいのは昔から。
中学の時も、真太郎の部活を見に行って____

成長した所がありずきて羨ましい。

って…何見てんだろ、私。

「５分休憩！！！」

大坪さんの声が体育館に響いた。
一人ずつ私の前でタオルとドリンクをもらう。

高尾にお疲れ様と言って渡し、次に来た真太郎にも同じ言葉をかけて渡した。

『真太郎、お疲れ様！』

けど、返事は返ってこなかった。
このシカト、一生続くのかな…。

『今日も調子いいね！お二人さん！』

「そーそ！順調！…ね？真ちゃん！」

「……あぁ。」

一拍遅れて出た言葉。
それはあまりにも不自然すぎて言葉に出してしまった。

『し、真太郎…今日どーしたの？なんか…気のせいかもしれないけどさ、私…嫌われてる？』

勇気を出して言った一言。

また無視される？

「A。」

『ん？』

一番最初に返ってきたのは、真太郎が私の名前を呼んだ声。

謝られる？

そう思った。

「俺にもう話しかけるな。」

でも違った。

もう、嫌われていたのか。

どこから？

そんなの…いくら探したって見つかりやしない。

日に日にすれ違って行った私達だから、どこから亀裂が入ったかなんて分からない。

『私のこと、嫌い？』

「ちょ、何言ってんの？二人とも…やめよーぜ？」

ごめんね、高尾。
もう…我慢できなくなっちゃった。

「ああ。嫌いだ。」

「真ちゃん！！！」

『…真太郎なんか大嫌い！！』

勢いよく私はその場を飛び出した。

込み上げてくる涙を流しながら__________