鳶は飛ぶ ページ7
｢ま、今回のことは不問で良いよ。忘れてあげる。帰るからそこどいてくれない？｣
前髪を耳にかけながら立ち上がったAは言う。
上からものを言うその態度に堪えきれなくなったのか再び獄寺が声を荒らげた。
｢…黙って聞いてれば調子に乗りやがって！｣
｢待て、獄…｣
｢何を待てって言うの。僕は待たないよ。｣
｢へぇ、やるの？いいわよ、私は別に。｣
沢田の静止も虚しく獄寺と雲雀、そしてAは臨戦態勢に入る。
まさしく、一触即発と言った空気だ。
｢まあ、待てって。ツナの話を聞こうぜ？｣
｢そうだぞ…それに、今ここで戦闘はまずい。｣
獄寺の肩を山本が、雲雀の肩を笹川が叩く。
今、このボンゴレ本部にはイタリアにいる守護者達の身内が避難して来ている。
理由はもちろん、ニッビョに狙われる可能性があったからだ。
せっかく安全のためにと避難させたというのに、ここで戦闘をすれば被害が出ないとも限らない。
それをわかっていた獄寺はちっと舌打ちをしながらも体制を戻した。
雲雀もまた、ふんと鼻を鳴らしながらもトンファーを下ろす。
｢…何故ボンゴレを狙う。｣
つまらなそうな顔をしながらリングをはめた手を下ろしたAに沢田は問う。
Aはんー？と鼻を抜けるような声を出した後口を開いた。
｢そうねぇ、六道骸と似たような目的かしら。｣
八の字に変わったAの瞳の中に、沢田は思わず息を飲んだ。
｢お前、エストラーネオファミリーの…｣
｢過去の話よ。それにあなたが思っている理由とは、少し違う。｣
長さが足りていないらしい前髪が下を向いたことでサラリと、耳から落ちた。
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作者名：もこ | 作成日時：2019年2月8日 19時
