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鳶は攫う ページ5
｢…おや？｣
血を流したのは、六道だった。
その体には4つの風穴があいている。
｢大丈夫、急所は外れてるはずよ。｣
Aがお疲れ様、と言ってぽんと部下のうち1人の肩を叩くと4人が崩れ落ちるように膝を着いた。
｢あなたは確か六道輪廻、その全てを巡りスキルを得ているのよね。なら、十界を知ってる？｣
笑って椅子に座り直すと再び足を組んだ。
｢五道に修羅道を加えたのが六道、そして六道に四聖を加えたものが十界よ。私にはね、十界全てを巡った記憶が刻まれているの。そして…｣
それまで前髪によって隠れていたAの右目が不意に覗く。
そこに刻まれた十の文字に六道はまさか、と目を見開いた。
｢そして、十界から10のスキルを得た。もちろん、その中にはあなたが持つ6つのスキルも含まれているわ。わかる？｣
目の中の文字が、八に変わる。
｢格が違うってことよ。無駄な希望は捨てることね。｣
Aは背後から近付いていたクロームを幻覚で作り出した拘束具を嵌めて笑う。
｢…骸、様……｣
｢…クロームを、離しなさい。｣
六道に助けを求めたクローム、それに応えるように六道は声を上げる。
しかし、その声は傷が痛むのか途切れがちだ。
そんな六道に、Aは鼻で笑って答えた。
｢この状況で命令？思わず笑っちゃったじゃない。却下よ。｣
…ここはボンゴレ本部のとある一室。
今クロームを離し、もし救援等呼ばれようものならどんなに強かろうと勝ち目はない。
｢それに、私はクローム髑髏にも用があるの。｣
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作者名：もこ | 作成日時：2019年2月8日 19時
