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湯あたりした私はタオルを首にかけ、廊下にある犬走椛に座って涼んでいた。
今日は一日曇り空だったけれど、夜に差し掛かった途端少しだけ雲が晴れてきた。
あの薄らと光る雲の後ろには月が隠れているんだろうね。
「A…?」
ふと名前を呼ばれ振り向いた。
そこには仕事から帰ってきたばかりの土方さんがいる。
こんなひどい仕打ちをしている私に話しかけてくるなんて、土方さんってほんと馬鹿。
「おつかれさまです。ご飯まだでしょ?」
「あぁ。てかはやく髪乾かせよ。湯冷めする」
土方さんはそう言って静かに私の後ろを通り過ぎようとした。
この人は仕事人間で、不器用なつまらない男。
ほらね、今もこうして何一つ分かってない。
私は反射的に土方さんの指を掴んだ。
座っている私からは土方さんの身長はあまりにも高すぎてその表情が見えない。
それでもわかる。
きっと、なんで私が掴んだか理解出来てないんでしょ?
理不尽だけど、それは私もなの。
「……どうしたんだよ」
ぶっきらぼうな言い方だけど、それは動揺を隠すためだって知ってる。
私はなぜ土方さんを止めたんだろう。
今日も昨日も、そして明日だって私は別の男に抱かれる。
そんなふしだらな女が彼を止めて何になるんだろう?
でも、私は感情で生きていない。
常に身体が勝手に動いてて、思いもよらない行動をとるの。
だからこういう時は冷静にならないで、全て思いつきで喋るの。
「少しだけ、話さない?」
今更こんな私と何を話すんだろうね。
私の普段の行いに釘を刺す言葉とか、軽蔑する言葉だとか、そういうことしか普通話せないでしょ。
それでも土方さんは優しい人だから────何も言わず、静かに隣に座ってくれるんだよ。
罪悪感に駆られるのは一体どっちだ。
そんなことはずっと前から気づいていたよ。
淫乱で痴女な私になってしまったことを嘆く土方さんじゃない。
こんな馬鹿みたいな私を見捨てない土方さんに、ずっとずっと罪悪感を抱えていたのは私の方なんだ。
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マヨネーズライダー(プロフ) - 何回も読み返してます。切ないですね。これからも読み続けます (2021年2月14日 1時) (レス) id: 01ab9bdc45 (このIDを非表示/違反報告)
えいたん(プロフ) - とても引き込まれる作品です!更新楽しみにしてます! (2019年8月21日 4時) (レス) id: 8f70e4d35f (このIDを非表示/違反報告)
ノイズ(プロフ) - 最高です!ハピエンでもバットエンドでも絶対面白いですね!更新あれば楽しみです! (2019年7月6日 18時) (レス) id: c4f6a2aaa5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瑠々亜 | 作成日時:2019年6月27日 0時