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【NORMAL】




「日輪!!どういうつもりなのじゃ!!」




月詠は荒々しく机を両手で叩いた。
日輪は呑気に晴太とせんべいを食べている。
日輪は怪訝な顔をして月詠を見た。




「もう、そんなに声を荒らげるんじゃないよ。ほら、あんたの分もとっといてあげるから」




「誰もせんべいの話はしとらん!!!」




月詠は頭を掻いた。
これまであまり口に出さなかった話題のため少し躊躇ってしまう。
だが意を決してその言葉を口にした。




「本当に銀時と紅薔薇を会わせるつもりか?わっちはまだあの女を信用していないぞ」




「だからこそ、私は銀さんに会わせるべきだと思ったの。銀さんの人を見抜く力は侮れないし」




日輪は悪戯っぽく笑った。
月詠は言葉を詰まらせる。
月詠がこんなに取り乱すのも訳ない。


────────数ヶ月前から、吉原では死人が相次いで出ていた。
それは遊女ではなく客人だ。
遺体は共通して刃物で滅多刺しにされていた。


百華が下した処罰で暗殺されたのではない。
だからこそ月詠は疑っていた。
死人が出たと同時期に紅薔薇太夫が吉原へやって来たからだ。


紅薔薇太夫のことは月詠もある程度調べていた。
だがどうにも月詠は紅薔薇太夫が苦手だった。
遊女の世界で育ってきた月詠ですら彼女のことが何一つ分からなかった。


目に見えない仮面を被り、流星の如く現れて人々を魅了する。
また彼女が以前にいた遊郭での火災事故。
それも何かしら関連しているのではないかと疑っていた。



「……仕事へ行ってくる」




返答に迷った挙句、日輪に背を向けてそこから去った。
日輪は目を細めて月詠を見送った。




「ふふっ……銀さんのことが心配なのね」




日輪は楽しそうに呟いた。
晴太は首を横に傾げる。




「月詠姉なんで怒ってたの?」



「心配だという反面、嫉妬もあるんだろうね」



「どういうこと?」



「晴太にはまだ早いこと」




日輪は再びせんべいに手を伸ばした。

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八重菊(プロフ) - コメントをさせていただきます。もうホンマに、マジで泣きました。ここまで泣いた作品は初めてです.........!素晴らしい作品をありがとうございます! (2020年8月15日 1時) (レス) id: 4b3ed537f2 (このIDを非表示/違反報告)
りなりー - ものすごく心に残るお話でした。来世で必ず一人の女の子として、銀さんと幸せになってほしいと思いました。 (2020年4月25日 16時) (レス) id: 6dff351985 (このIDを非表示/違反報告)
Leaf(プロフ) - 45話読んだときは、「紅薔薇太夫!何で!?」って思った。でもその後の話を見てたら、何だか腑に落ちた。幸せなまま…… すごくいいお話でした。 (2019年1月3日 16時) (レス) id: b8ce9cd4fa (このIDを非表示/違反報告)
Leaf(プロフ) - 泣いた。いやめっちゃ泣いた。 (2019年1月3日 16時) (レス) id: b8ce9cd4fa (このIDを非表示/違反報告)
瑠々亜(プロフ) - ハニーさん» コメントありがとうございます。愛着湧いてしまった夢主ちゃんだったからこそ、早く解放してやらなきゃな…という使命感に駆られてこうなりました笑 (2018年12月10日 3時) (レス) id: 95173b8ff8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:瑠々亜 | 作成日時:2018年10月27日 14時

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