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【銀時】



今日のAはいつもより顔色が悪かった。
虫の居所が悪いと言っていたが体調不良なのかもしれねぇ。
今日は早いとこ切り上げた方が良さそうだ。



「これ飲みきったら俺帰るわ」



「何故ですか?」



Aは怪訝な顔をして聞いてきた。
あれ、これまでのAはとっとと帰れというスタンスだったから即座に返事してくれると思ってたんだけど…
若干戸惑いながら俺は答えた。



「んー、いや…なんかお前顔色悪いし休んだ方が良いんじゃねーの?」



「わたくしに気を遣っているのですね」



「まあそういうことになるな」



「ありがとうございます」




俺は勢いよく顔を上げた。
Aは不思議そうに首を傾げる。
一瞬鳥肌たったんだけど!!
え、今Aが素直にありがとうと言った?!


この異常事態に警報出してんのは俺だけかよ!
Aの様子が明らかにおかしい!




「あのー、紅薔薇太夫様…」



「なぜ急に改まるのですか」



「いやだって…」




心做しか最近のAは前より若干穏やかだ。
ため息が多かったり露骨に嫌そうな顔をしていたのが懐かしい。
まあ嫌そうな顔はたまにするけどでも前より物腰はかなり柔らかくなった。



「今日仕事出て大丈夫か?無理すんなよ」



「吉原一のわたくしを嘗めないでください」



「うん、いつも通りだ」



プライドも気品も高いA。
それでこそ吉原一の花魁だ。
その時俺はAの首筋に気がついた。


首筋には絆創膏が貼られている。
怪我でもしたのか?
俺の視線に気づいたAは静かに呟いた。



「かなり痛々しい痣が出来てしまったので絆創膏を貼りました」



「あー、そういうことね」



Aの言う痣とはキスマークのこと。
Aは身体中にそうした痣がたくさんあるだろう。
現に裾からチラチラと見える細い腕にも数箇所あったし。



「頼むから無理だけはすんなよ」



俺がそう言うとAは頷いた。
笑みの一つも零してくれないがそれでも良かった。
Aは着実に俺に心を開いている。
それだけで十分だ。

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八重菊(プロフ) - コメントをさせていただきます。もうホンマに、マジで泣きました。ここまで泣いた作品は初めてです.........!素晴らしい作品をありがとうございます! (2020年8月15日 1時) (レス) id: 4b3ed537f2 (このIDを非表示/違反報告)
りなりー - ものすごく心に残るお話でした。来世で必ず一人の女の子として、銀さんと幸せになってほしいと思いました。 (2020年4月25日 16時) (レス) id: 6dff351985 (このIDを非表示/違反報告)
Leaf(プロフ) - 45話読んだときは、「紅薔薇太夫!何で!?」って思った。でもその後の話を見てたら、何だか腑に落ちた。幸せなまま…… すごくいいお話でした。 (2019年1月3日 16時) (レス) id: b8ce9cd4fa (このIDを非表示/違反報告)
Leaf(プロフ) - 泣いた。いやめっちゃ泣いた。 (2019年1月3日 16時) (レス) id: b8ce9cd4fa (このIDを非表示/違反報告)
瑠々亜(プロフ) - ハニーさん» コメントありがとうございます。愛着湧いてしまった夢主ちゃんだったからこそ、早く解放してやらなきゃな…という使命感に駆られてこうなりました笑 (2018年12月10日 3時) (レス) id: 95173b8ff8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:瑠々亜 | 作成日時:2018年10月27日 14時

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