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【銀時】
真っ昼間からAのいる宿屋の前がやけに騒がしかった。
ヒステリックな女の声や野次馬の声が聞こえてきた。
俺は人を掻き分けながら中心層へ向かった。
遊女がこうして喧嘩することは多いわけではないが見慣れてはいる。
女の世界だからこそ派閥も大きく、喧嘩やイジメが絶えないと日輪たちも言っていた。
ま、喧嘩する遊女に用はない。
俺はいつも通りAと話をするためだけに来た。
とっととお邪魔して地上の話を聞かせてやろう。
だがそこには予想外の人物がいた。
こういう喧嘩沙汰に関与したことは無いと日輪から聞いていたが…
中心層にいたのはAだった。
「それはあたいの禿(かむろ)だよ!!あんたの禿は他にいるじゃないかい!!」
ヒステリックに声を荒らげる女はAをきつく睨みつけた。
Aは相手の女の禿と思われる少女を庇うように懐へ隠した。
「わたくしの禿が先日体調不良だったためたまたまそこに居合わせた彼女にわたくしの紅を買うよう命じておりました。故に彼女の仕入れが遅れたのはわたくしの責任も同然です」
「庇うのはやめとくれ!!これはあたいたちの問題だよ!!」
周囲の話を聞く限り、どうやらAの傍らにいる少女はヒステリック女の禿らしい。
そんで今日はヒステリック女一番の目玉の客が来るから新しい香を仕入れるよう命じたとか。
だが禿はそれを忘れてしまったらしくこんな有様になっているとか。
Aはそれを庇っているんだろう。
「ではこうしましょう柊太夫。香ならわたくしのまだ未使用品を差し上げます」
「そんなことで解決すると思っているのかい?!」
「あなたが香に拘るのも無理はありません。"愛染香"を使用しなければ客をとれない哀れで無能な遊女ですものね」
その瞬間ヒステリック女の表情が強ばった。
いや、懐にいる禿の顔色も変わる。
Aは俺に向けるような冷めた目でヒステリック女を見つめていた。
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八重菊(プロフ) - コメントをさせていただきます。もうホンマに、マジで泣きました。ここまで泣いた作品は初めてです.........!素晴らしい作品をありがとうございます! (2020年8月15日 1時) (レス) id: 4b3ed537f2 (このIDを非表示/違反報告)
りなりー - ものすごく心に残るお話でした。来世で必ず一人の女の子として、銀さんと幸せになってほしいと思いました。 (2020年4月25日 16時) (レス) id: 6dff351985 (このIDを非表示/違反報告)
Leaf(プロフ) - 45話読んだときは、「紅薔薇太夫!何で!?」って思った。でもその後の話を見てたら、何だか腑に落ちた。幸せなまま…… すごくいいお話でした。 (2019年1月3日 16時) (レス) id: b8ce9cd4fa (このIDを非表示/違反報告)
Leaf(プロフ) - 泣いた。いやめっちゃ泣いた。 (2019年1月3日 16時) (レス) id: b8ce9cd4fa (このIDを非表示/違反報告)
瑠々亜(プロフ) - ハニーさん» コメントありがとうございます。愛着湧いてしまった夢主ちゃんだったからこそ、早く解放してやらなきゃな…という使命感に駆られてこうなりました笑 (2018年12月10日 3時) (レス) id: 95173b8ff8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:瑠々亜 | 作成日時:2018年10月27日 14時