検索窓
今日:84 hit、昨日:3 hit、合計:216,165 hit

1 ページ1

【NORMAL】





か細く甲高い声が部屋に響いた。
不安定に速度を加える声、軋む畳の音。
満月の灯火に部屋が照らし出され、障子には重なり合う男女の陰影が写し出された。









「ふぅ、こんなに綺麗な女は生まれて初めて出会った」





男に背を向けて七襦袢を着込む女はその手を止めた。
振り返ると男は布団の中で頬杖をつき女を見つめていた。


女は何も言わず静かに立ち上がった。
そのまま男の元へ近づくと腕を引かれ、胸の中へと引きずり込まれる。




「男としてそろそろ限界を迎えると思っていたが今はまるで違うな。むしろ今が一番活気だっている気がする」




2人は見つめ合ってから顔を近づけて何度も唇を重ねた。
次第に男は女の首筋をなぞるように舌を動かした。


また女が整えたばかりの七襦袢の下に手を滑らせる。
女は忍び込む男の手に自身の手を重ねた。




「昨晩だけでは満足致しませんでしたか?」




「その逆だ。満足の限度を超えむしろこれ以上無いほどお前を求めてしまう」




男は女の豊満な胸を大きな手で愛撫した。
女は唇を噛み締めて全身を駆け巡る快感を受け取った。
そのまま男の首に手を回して唇を舐める。





「やはりお前も昨晩だけでは足りなかったみたいだな?」




「わたくしは殿方様とは違ってまだ満足出来ていませんもの」




挑発的な女の言葉に男は不敵に笑った。
そのまま女を押し倒し、乾いていた身体に触れる。
女の身体は物欲しそうにどんどん疼き出した。




「まだ時間内だろう?たっぷりと啼くといい」





男はゆっくり女の胸に顔を埋めた。
女は静かに目を閉じて男の温もりを感じる。
────────薄らと開けた目は酷く冷めており、小さく漏れる声とは不釣り合いだった。





「もっとその声を聞かせておくれ────紅薔薇太夫よ」







何も知らない男は呑気に雰囲気に飲み込まれていた。

2→



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (324 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
490人がお気に入り
設定タグ:坂田銀時 , 銀魂 , 花魁
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

八重菊(プロフ) - コメントをさせていただきます。もうホンマに、マジで泣きました。ここまで泣いた作品は初めてです.........!素晴らしい作品をありがとうございます! (2020年8月15日 1時) (レス) id: 4b3ed537f2 (このIDを非表示/違反報告)
りなりー - ものすごく心に残るお話でした。来世で必ず一人の女の子として、銀さんと幸せになってほしいと思いました。 (2020年4月25日 16時) (レス) id: 6dff351985 (このIDを非表示/違反報告)
Leaf(プロフ) - 45話読んだときは、「紅薔薇太夫!何で!?」って思った。でもその後の話を見てたら、何だか腑に落ちた。幸せなまま…… すごくいいお話でした。 (2019年1月3日 16時) (レス) id: b8ce9cd4fa (このIDを非表示/違反報告)
Leaf(プロフ) - 泣いた。いやめっちゃ泣いた。 (2019年1月3日 16時) (レス) id: b8ce9cd4fa (このIDを非表示/違反報告)
瑠々亜(プロフ) - ハニーさん» コメントありがとうございます。愛着湧いてしまった夢主ちゃんだったからこそ、早く解放してやらなきゃな…という使命感に駆られてこうなりました笑 (2018年12月10日 3時) (レス) id: 95173b8ff8 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:瑠々亜 | 作成日時:2018年10月27日 14時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。