女房は世界一怖い。でも好き

欲望 ページ29

Aside





陛下は私に、花嫁修業のことについて深く聞いてきた。




「相手の男は君にどれほど尽くしたんだ？」




貴「尽くすとかそうではなく、互いの足りないところを補っていましたので」




「ふん............それでは君を満足させれないではないか」





この国では尽くした者がより好印象を与える。



ようはお金。


何でもかんでもお金。



人の愛すらお金で買う。


この国に真実の愛なんてありやしない。





貴「彼は......この国では見られない、とても貴重な方で......私の憧れにもなりました」




「君の憧れとなればよりソイツを知りたい。一体どんな男なのだ？」





貴「............陛下は”侍”というモノをご存知ですか？」




「サムライ？なんだそれは」




貴「己の道を突き進み、誰よりも志しの高い者達です」





「..................要するに君は、その男に惚れてしまったのだな」





その瞬間、陛下は私の手を握った。



思わず顔を凝視してしまう。






「私は本気だ」




貴「........................何を仰っているのでしょうか？」




「器量の良い君なら察しはついているであろう」






この国の者達は手に入れないと気が済まない。






本当にイライラする。

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