後輩注意報発令しました。【月島蛍】

注意報11 ページ12

·








あの後、烏養さんの声で練習試合が始まった。


相手は県内の高校で、強さはまぁ、普通くらい。


練習試合が出来るのも、武ちゃんのつてだ。





「練習試合っ……勝ってほしいですね！」



『そうだね。やっちゃん、なんか楽しそう。』



「へっ、そ、そうですか？」





隣でなぜか挙動不審になるやっちゃん。


え、なに？この可愛すぎる生き物。


私がやっちゃんに夢中になる中、もう試合は始まっていた。





「ワンタッチ……！」



「ナイスキー！」





やっぱり、迫力のあるなぁ。


ピッという笛の音で、私は得点板を一枚めくる。


烏野勝ってる……強くなったな。


そう思いながら、じっと試合を見つめていた。


そんな中、私はとある人物に目を移す。




「……っ！」




(ピッ！)





「おぉー！ドシャット！ナイス月島！」



「……別に、大したことじゃないですよ。」





龍の言葉を軽く受け流す月島。


あー、なんだ。喜ぶかと思ったのに。


でも、凄く綺麗にボールをブロックしていた。





『……やるじゃん、ほたるくん。』





聞こえたら殺されるんだろうな、なんて思いながらも言ってしまうのが私だ。


まぁ、どうせボールの音で聞こえてないし。





「……A先輩も、楽しそうですね。」



『……え？なんで。』



「ひぇっ！た、楽しくなかったんですか！？わ、笑ってたので……？」



『私、笑ってた？』



「は、はぃ。それはもう、とても美しく笑っておられました！」



『……なにそれっ、やっちゃん喋り方、変っ笑』






……笑ってた、か。


完全に無意識だったな。






『っふふ……確かに、楽しいかもっ。』



「……ま、眩しい！」



『え、やっちゃん？』







にっこりと私が笑うと、顔を手でおおってしまうやっちゃん。


……そんなに、笑顔が気持ち悪かったのかな。









·

注意報12→←注意報10

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す