Pocket

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F side









それから俺は、ファッション雑誌を見ながら


たまに渉の方を見て、コーヒーを啜る。


ふと、ポケットの中が気になって


覗いてみるが、これがまた、変な体勢になって


周りから怪しまれそう。


だったら、いっその事、脱いでしまえ。


そう思い、俺はゆっくり、あまり揺らさないように


パーカーを脱いだ。









ポケットの端っこを摘んで、チラッと覗き見ると


仰向けのまま、動かないひろみつ。









「え…？」








小さく声を漏らしたが、相当焦ってる俺。


………まさか。


もう、お別れなの……？


そんなの嫌だ！！咄嗟にそう思って


人目も気にせず、ポケットからひろみつを取り出した。









「…あれ？」



「……すぅ……すぅ……むにゃ……。」



「はぁぁぁぁぁ……。よかったぁ……。」









大きく息を吐き、安心した俺。


なんだよ。寝てんのかよw


自分の世界に入り込んでた俺は


渉が服を選び終わったことに気づかなかった。









「……た、太輔？……なにニヤけてんの？」



「ハッ！！渉！！」



「何それ。……人形？……キーホルダー？」



「え、あ、いや、これは！！」



「…太輔に宮田みたいな趣味あったっけ。」









…おい。あんな萌え萌え野郎と一緒にすんな！！


って言おうと思ったけど、今はそれどころじゃない。









「……太輔？……おーい。」



「あ、ごめんごめん。…服、決まった？」



「あぁ、とりあえず、これと、これと、そっちのやつ。」









よし、ナイスだ俺。


俺は、何事もなかったかのように


再びひろみつをポケットに入れ、渉のいる方へ向かった。

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