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F side








「おはようございまーす。」





仕事場に入ると


デザインやコーディネートをするための衣服が


ズラッと並んでいて、その衣服の前に


腕を組んで、顎に手を置き、悩む男の姿があった。


ポケットから、ほぉえぇ〜〜。


って、声が聞こえたのは、なかった事にしよう。









「おはよ。渉。」



「はよ。」









おっつ…。悩んでる時に話しかけると


冷たくされるんだった…。笑


話しかけんなオーラ、半端ねぇ…笑。









渉は、俺の一つ上の先輩だけど


普通にタメ語で話すほど、仲が良く


しょっちゅう二人で出かけたりする、親友だ。


今日は、ある映画の主人公の服を選ぶ


大事な日だった。


だから渉も、いつも以上に悩んでるっぽい。


その映画の主人公は


ふわふわした雰囲気の、今時の男性アイドルらしいから


そのふわふわとした雰囲気を


壊さないようにしてほしいというのが


映画の脚本家の要望だった。









俺と渉は、二人ペアで仕事をもらうことが多く


今までは、どちらかというと


ギラギラとした衣装や


奇抜な衣装を手がけることが多かったから


余計難しく、悩むらしい。









俺らの仕事のやり方は、周りとは少し違くて


渉が選んだ組み合わせに


俺が少しのアレンジを加え、より良くしていく。


そんな風にしていた。


だから、他のペアたちは


二人で衣服の前に立ち、悩んでいるのに


俺たちは、一人が悩んで


一人が座ってコーヒーとか飲んでるw


傍から見れば、あいつ、やる気あんのか？


とか思われちゃうかもしれないけど


俺たちは、今のやり方を変えるつもりはない。

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