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「…おい、石燕。
_____貴様は本当に花魁清姫なのか？」
「国木田君それ今聞く？普通…」
組合が帰った後、石燕に問う国木田。その国木田を、引いた様子で見る太宰。
太宰にそういう風に言われ事に納得いかないのか、眉を歪める国木田。
「違いますよ。」
ふふふ、と笑う石燕。その姿はいつも通りの石燕だったため安心する探偵社員。
「…私自身自分が何者か知りません。
ただ_____
探偵社に入った十六歳で、私という存在が初めて生まれ堕ちました。
だから、過去を話さないかもしれませんし、話すかもしれません。
けど、知っても何も変わらないですよ。さっきも言った通り私は_____」
「鳥山石燕。でしょう？」
そうですね。と、太宰に言う石燕。そう言えば納得したのか、働き出す探偵社員。
「(そう…知らなくていいの。だってこの関係が崩れるのが嫌だもの。)」
そう思うと馬鹿馬鹿しいなと、自傷気味に笑う石燕。
自分はどうやら強欲になってしまったようだった。
『師匠がそれで良いなら私もそれで構いません。』
『…もう少しのぅ、我儘を言ってもええんじゃぞ。』
『死にたいのに生きてる。これ以上の我儘はないと思います。』
鳥山石燕という存在は、とうの昔に殺された。
これ以上辛い思いをしない為には、非人道的にはならなければいけなかった。
あれだけ、死にたいと思っていた世界。でも、まるで夕日のような赤い髪を持つ彼のおかげで息が出来るところに来れた。
「(ここだけは手放したくないですね。)」
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作者名：楓 | 作成日時：2021年2月28日 20時
