29 ページ29
・
一、二時間経ったくらいに石燕宛に連絡が来た。
『石燕。電車でマフィアと交戦した。』
「⁉それで、そちらの様子は…？」
『気絶した敦と女の子を保護した。迎えに来てくれないかい？』
「畏まりました。」
電話相手は与謝野だった。与謝野の頼みを承諾する。
「国木田さん。与謝野先生達を迎えに行って来ます。」
「！…判った。」
いつもより真剣そうな表情の石燕に驚くが、それどころではない事に気づいた国木田。
急いで探偵社を出て、自分の愛車に乗る石燕。携帯電話に送信してもらった地図を頼りに進む。
道が空いていた事もあって、数十分で目的の場所に到着した。
「与謝野先生。」
「石燕。遅いじゃあないか。」
「すみません、これでも早くしたのですが…」
嘘だよ。早く行くよ。と、ニヤリと笑う与謝野。
「…この少女は？」
「…敦と交戦したみたいなんだよ。」
スゥ…と、敦の横で寝ている少女を指差す石燕。アホ毛が特徴的で可愛らしい容姿をしている。
「失礼。」
「敦が気が付いたら自尊心がズタボロだろうねえ…。」
敦を持ち上げる石燕。しかし、持ち上げ方に問題があった。
所謂、お姫様抱っこなのだ。
「急いで敦君達を車に乗せて帰りましょう。」
男にとっては大事な問題でも、石燕にとってはどうでもいい問題だったのかそのままの状態で歩き出す。
「与謝野先生はそちらの少女をお願いします。」
「はいはい。」
そう言われ、少女を背負う与謝野。
敦、少女、与謝野を車に乗せて、探偵社に向かって帰っていった。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 75人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：楓 | 作成日時：2021年2月28日 20時
