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「あらっ、敦君お帰りなさい。」
「えぇ…?」
敦に声を掛ける石燕。敦は、混乱していた。
それもそのはず、特殊部隊並みの強さを持つとされている黒蜥蜴が数名の探偵社員にやられているのだから。しかも、賢治によって窓から投げ捨てられている。
「これだから襲撃は厭なのだ。
備品の始末に再購入。どうせ階下から苦情も来る。
業務予定がまた狂う…。
_____しかしまあ、この程度いつものことだがな。」
石燕が照明を落とさなければ、もっと出費が出ていた。と、呆れた様に言う国木田。
そう。照明を消した理由は、照明を破壊された時、周りへの被害を少しでも減らすためだった。
「あっ、賢治君次この方です。」
「はい!わかりました〜。」
敵を賢治に渡して、窓から落とさせようとする石燕。
「(…マ、マフィアより、
探偵社のほうが、ぶっちぎりで物騒じゃん。)」
心の底から思う敦。
「敦君。だから治君に言われたでしょう?
『この位で驚いてちゃ、身が保たないよ?』って。」
「確かに言われましたけど!」
けろっとした表情で敦に言う石燕。そんな石燕に、そんな意味だとは思っていなかったんです。と言う敦。
「おい。呆けてないで準備しろ。仕事は山積みだ。
太宰も探して連れてけ。」
どうせその辺の川に流れている。と、敦に言う国木田。
「は……はは。」
此処に居ていい。そう言われた様に感じたのか目に涙を溜める敦。
「あ?何だお前泣いているのか?」
「泣いてません。」
「泣いてないのか。」
「泣いているのか?」
「泣いてます‼」
泣いている敦を心配そうに見つめる石燕。泣いている事を確認した石燕は国木田を見る。
「国木田さん…。」
「おい、やめろ。そんな目で俺を見るな石燕。」
まだ何も言っていませんが…と言う石燕。冷や汗をかきながら目を逸らす国木田。
「後輩弄りは、治君と一緒ですよ。」
「だから、違うと言っているだろう‼」
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作者名:楓 | 作成日時:2021年2月28日 20時