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「…ッ、零細探偵社ごときが！我らはこの町の暗部そのもの！
傘下の団体企業は数十を数え、この町の政治・経済の悉くに根を張る。
たかだか十数人の探偵社ごとき_____
三日と待たずに事務所ごと灰と消える！
我らに逆らって生き残った者などいないのだぞ！」
太宰と石燕の態度が気に入らないのか、声を荒げながら言う樋口。
それを聞いても、つまらなそうにしている太宰と石燕。
「知ってるよ。その位。」
ポリポリと、頭を掻きながら言う太宰。
「然り。
外の誰より貴方はそれを悉知している。
_____元マフィアの太宰さん。」
そう言い残せば、その場を去る芥川。それに続いて行く樋口。
「帰りましょう。治君。」
「…うん。そうだね。」
少し元気がなさそうな太宰を不思議に思う石燕。
「石燕ちゃん。
私は_____
人助けが出来ているだろうか…｣
太宰は、顔を俯かせているため、顔色が伺えない。
「出来てると思うけど。」
何当たり前の事を聞いているの？と、言う石燕。
石燕は、基本敬語だが、親しい間柄の太宰には敬語ではなかった。
「さぁ。敦君は兎も角、ナオミちゃんと、潤君が危ないよ。治君。」
「うふふ。そうだね。」
ごめんね。と石燕に言う太宰。
「私が異能を使って、与謝野先生の処に二人を連れて行くね。」
「うん。よろしく〜。」
「異能力 『百鬼夜行 狗神 獣化』」
石燕がそう唱えると、文字の羅列が石燕を囲む。
石燕の体はどんどん変化していく。最終的には、十数米の大きさの狗となった。
「相変わらず、綺麗な白い大きなわんちゃんだね〜。」
白色の毛に、右目は碧色。左目は緋色。とても綺麗な獣だった。
「頼んだよ。石燕ちゃん。」
獣化した石燕は、ナオミと谷崎に負担が少ないように咥えて探偵社へ向かった。
「さて、敦君を運ぶか…」
_____面倒くさいな…。
そんな太宰の声が裏路地に響いた。
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作者名：楓 | 作成日時：2021年2月28日 20時
