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「えーと、調査のご依頼だとか…。」
ずらっと、座る探偵社の向かいの席には、ちょこんと、座っている金髪の女性。
「それで…「美しい……」」
谷崎が、依頼について細かく聞こうとする。が、太宰によって遮られる。
太宰は依頼人の手をとり続ける。
「睡蓮の花のごとき果敢なく、そして可憐なお嬢さんだ。」
「へっ⁉」
太宰の口説き文句に混乱を隠せない依頼人。
「どうか私と心中していただけないだろ_スパァァァンッ」
「国木田さん…。やりすぎではないですか?」
続ける太宰に、制裁を与える国木田。そんな太宰を可哀想に思ったため口にする石燕。
「なななな⁇⁇」
「あ、済みません。忘れてください。」
未だ理解が出来ていない依頼人に平然と言う谷崎。
「石燕。お前が甘やかすからこうなるんだ。」
「あらあら。治君は、元からですよ。」
石燕に睨みを効かせながら言う国木田。だが、それに臆さず、友人を売る石燕。
ひどいよ〜。石燕ちゃん〜。あと心中して〜。と、言いながら、国木田に引きずられる太宰。
そんな太宰を見て、両手を合わせる石燕。
そんな事をしている間に、依頼人の話は進んでいた。
「善からぬ輩ッていうと?」
依頼人から詳しく聞こうとする谷崎。
「分かりません。
ですが、襤褸をまとって日陰を歩き、聞きなれない異国語を話す者もいるとか」
「そいつは、密輸業者だろう。」
依頼人の曖昧な答えに、ハッキリという国木田。
密輸業者は、どれだけ取り締まっても船蟲のように湧く。
だが、証拠さえ有れば、軍警に掛け合える。
依頼内容は、【現場を張って証拠を掴め。】
「小僧_____
お前が行け。」
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作者名:楓 | 作成日時:2021年2月28日 20時