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「いや〜。美味しかった…」
ご馳走さまでした!と、満足そうに云う敦。
「(礼儀もなっている。
彼は、良心が強い子なのでしょう。
…あぁ!良い事を思い付きました‼)」
悪戯が成功した悪餓鬼のように笑う石燕、
「石燕さん。どうかしましたか?」
石燕の様子を見て不思議に思ったのだろう。敦が石燕にそう言った。
すると、先程とは打って変わった雰囲気に変わった石燕。
その顔は、相変わらず笑顔のままだが、何処か真剣そうに見えた。
「敦君。」
「はっ、はい!」
「ふふふ。そんなにかしこまらないで良いですよ。」
そう微笑みながら、敦に云う石燕。
「敦君。
貴方は、悪事をはたらくことは得意ではないでしょう…。
_______だから、人を助けなさい。」
その通りだった。敦には、悪事は向いていなかった。
「人を助ける…」
_____自分に出来るだろうか。
そう考える敦を見て、石燕は続けて言う。
「人を助けることをそこまで、難しく考えなくていいんです。
例えば_____
そうですね。川で溺れている人が居ればその人を助けると良いですよ。」
川で溺れている人を助ける…?と、敦の頭の中では、?がいっぱいになった。
だが、そんな敦を気にせず続ける石燕。
「きっと、君のような、孤児でも入れる仕事を紹介してくれますよ。」
それを聞いた敦の目は輝いていた。
それもそのはず、彼は無一文で、仕事先がないのだから。
「では、失礼しますね。
上司に怒られてしまうので…」
困ったように眉を下げている石燕。
「いっいえ。ありがとうございました。色々と。」
「ふふっ。君が幸多からんことを。」
そう言えば、敦と石燕との間に突風が吹く。
風が止み、敦が目を開けると石燕はもういなかった。
だが代わりに_
代わりと言ってはなんだか_____
___視線の先の川には、足が生えていた。
「(足が生えている⁉
えッ、どうすれば…)」
思い出されるのは、先程の石燕との会話。
「えぇいっ!」
__この行動が、これからの大波乱な生活の引き金になるとは、敦は知らなかった。
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作者名:楓 | 作成日時:2021年2月28日 20時