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Episode02 T160 ページ10

「明日10時。
国際線で俺は日本を発つ。
ファーストクラスで。」

はははっ
パイセンが、笑う。

「えっ
チケットもう買ったんすか?」

マルは、パイセンの準備の速さに驚いたように声をあげた。

…いや、逃げるんだったら早い方が良い。
むしろ遅いくらいだ。

パイセンの似顔絵が出る前に、逃げておくべきだったのかもしれない。
…今となっては遅すぎるけど…。

「んなもん、明日空港で買えばええやろ。
お前ら、どないするん?」

「ついていきます。」

マルは、パイセンが電話をした時点で決めていたみたいだったから、
パイセンの問いに即答した。

「ほんまか!来てくれるんか!」

「俺にはこの仲間しか信じられる人がいないから。
俺にとっては一択です!」

ビシッと人差し指を立て、言うマル。

そんなに簡単に、日常を捨てられるマルが
うらやましいくらい。
決断ができずにいる俺。

「ありがとー、マルー!
で、お前。
パスポートは持ってるんか?」

「持ってる持ってる。
いっぱい持ってる。」

「そうか、いっぱいかー。
って、なんでやねーん!」

「出たー!
パイセン、なんでやねーん」

「なんでやねーん!」

異様な盛り上がりで、2人は口の横に手を当て
山でするみたいに、窓に向かって叫ぶ。

今行ったら、俺の大好きな
そこそこの日常は
きっと…もう戻って来ない。

いや…
そんなもん、もう既になくなってるか。

「トビオ。
トビオは結局どうすんの?」

マルがこちらに向き直って聞く。

俺は…。
どうするのが正解なんだろう。

でも、残れば…
少なくとも…あいつはいる。

「大丈夫や、トビオ。
向こうでの生活費は俺が出すやん。」

”バイバイ”
目の端に涙をためたAの顔が浮かんで…。

やっぱり、そんなの嫌だなって思って。

「マジっすか、パイセン。
やった、トビオ!
俺たちの第2の人生始めようぜ。」

”マジで好きだったのに。”
蓮子の怒りの視線を思い出して

あぁ。どうせもう会わないしって思ったんだっけ…。

心の中は、まだはっきりしないまま。

「わかった。
いくよ。俺も行きます。」

無理矢理ひねり出した結論を口にする。

「やったー!」

「うぇーい!はははっ!」

「ねぇ、向こう行ったら何します?」

「テレビでな、見たんや。
女がな、女が…。」

行く。
そう言ったのに、2人の楽しそうな会話は現実味がなく、
段々、遠くに聞こえるようになっていった。

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みほ(プロフ) - 結姫さん» 独り言www四巻完結おめでとうございます^^おつかれさまです〜 (2017年12月13日 9時) (レス) id: ffa53d8167 (このIDを非表示/違反報告)
結姫(プロフ) - はなさん» はなさん、ありがとうございますー^^5巻もお付き合いくださいー (2017年12月12日 21時) (レス) id: 2910946d8c (このIDを非表示/違反報告)
はな(プロフ) - わー!!4巻完結おめでとうございますー^^ (2017年12月12日 20時) (レス) id: 4219f90d82 (このIDを非表示/違反報告)
結姫(プロフ) - みほさん» ごめんなさい、レスにしてなかったから、独り言になってましたwそうなんですよ、ノリの問題なのですが…><;もうちょっとで4巻かんけつなので、何とか頑張ろうと思うです! (2017年12月8日 0時) (レス) id: aa658a14f4 (このIDを非表示/違反報告)
結姫(プロフ) - 旅人さん» ですよね^^;ありがとうございますー (2017年12月8日 0時) (レス) id: aa658a14f4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:結姫 | 作成日時:2017年9月21日 22時

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