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88 松川side ページ9

松川said




「ハァ…ハァ…い、いっせ!…」




後ろから聞こえるAの声を無視して、


細い手首を引っ張り走り続けた。





とりあえず

嫉妬で狂いそうなのを耐えて、誰もいないであろう屋上に向かう。






怒りに任せ屋上のドアを乱暴に開ければ、
案の定人っ子ひとりいなかった。




そして、ドアを閉め後ろを振り向き


Aと向き合って、こいつの小さな手を握りなおす。





Aの肩は大きく揺れてる。




走っている間に、涙は止まったみたいだ。


泣いた後のAの潤んだ瞳は、下を向いている。






松「ねぇ。なんで、抱きしめられてたの?」





中庭から、たまたま見上げた教室の窓に


見たくない光景があったのをまた思い出す。





あの瞬間は、ほんとに花を殴ってやろうと思った。





でも、Aが泣いているのに気づいて、

もしかしたら、俺が告白されてるのを見て泣いたのかもしれないと思ったから、

手が出るのを我慢した。






目の前のAは、なにも答えない。



知らぬうちに、苛立ちが募っていく。









松「…答えろ。」








気づけば低くそう呟いていた自分に驚き、


それで初めて冷静さを失っていると自覚した。




Aはまだ、合宿のとき俺が高野にチューされて
照れていると思っていることを、思い出す。




言動が自己中すぎた。


謝ろうと口を開きかけると、




Aの目から、大粒の涙が溢れてきて…



滅多に見ないAの泣き顔は、
ひどく自分を焦らせる。







「ッうる…せぇ…」







震えたその声。



片手で止まらない涙を拭いながら、Aはうつむいて喋り出す。







「なんで…フゥッ、ヒック、一静が怒ってんだよ…」





「なんで…待ってろなんて言うだよ。」





「なんで…グスッ…なんで高野なんかに照れさせられてんだよっ」





「なんでッ!ウゥ、…コクられてんだよ!」








「ウッ…なんでぇ、グズッなんでキスなんかされてんだよ!!」







俺の目の前で、Aは泣き叫ぶ。








初めて見るAのその姿に、

脈が騒がしく波打つ。





これは、Aがずっと溜め込んでたこと。







こいつをここまで追い込んだのは、



俺だ。







でも、2つ


Aは勘違いしている。




.

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なつみかん - この小説大好きです!!こんなに詳しく気持ちが書かれている小説初めて見ました!!しかもまっつんという!!最高な小説をありがとうございました! (2019年6月27日 19時) (レス) id: 62df2025c4 (このIDを非表示/違反報告)
budou(プロフ) - もう何年も前に見つけたこの作品。今になっても何度も見に来るほど気に入ってます! (2019年3月5日 5時) (レス) id: 953eb62aba (このIDを非表示/違反報告)
聖*蒼 - 気づいたら号泣w 本当にいい作品でした! (2018年8月30日 0時) (レス) id: c284316331 (このIDを非表示/違反報告)
H.DG(プロフ) - Mitsüさん» そう言っていただけてめっちゃ嬉しいです泣コメありがとうございます! (2017年7月20日 21時) (レス) id: bdceda118d (このIDを非表示/違反報告)
Mitsü(プロフ) - ありがとうございます!!まっつんすっごいイケメンだし照れてる理由が可愛すぎだし夢主ちゃんもう天使だしマッキーは一途で切ないし幸せになって欲しいしでもうほんと好きです…凄く感動させていただきました!ありがとうございます!長文失礼しましたm(_ _)m (2017年7月13日 12時) (レス) id: da762f3e45 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:H.DG | 作成日時:2016年5月12日 0時

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