検索窓
今日:4 hit、昨日:14 hit、合計:68,036 hit

10-2 ページ44

「良かった。ふたりともまだ居てくれて」

……そう言って近づいてきた美少女プレイヤーに、私とキリトは揃ってぽかんと口を開けることになった。

キリトが恐る恐る問いかける。

「……あの、どちら様ですか……?」
「何言ってるの、アスナよ」
「え」

言葉をなくす。私も同じ心境だった。
……よもやあのフードの下にこんな美人が隠れていようとは。
というかこの美しさは現実に存在するのか、というかしていいのか。神様は不公平だという言葉が心に突き刺さるレベルなんですが。

…………とか考えて私が泣きそうになっている間にも話は進んでいた。

「エギルさんと、キバオウから伝言がある」
「……何て?」
「エギルさんは、『二層のボス攻略も一緒にやろう』って。キバオウは『今日は助けてもろたけど、ジブンらのことはやっぱり認められん。わいは、わいのやり方でクリアを目指す』って」
「……そうか」

少しだけ、キリトの声が掠れた。
言葉の意味を反芻しているのだろう。あの場所で、二人だけが、気づいていたのだと。

……私も、そっと脳裏で繰り返した。

「それから、これは私の伝言。貴方、戦闘中に私の名前呼んだでしょ」
「……?」

水を向けられたキリトは戸惑っている。

「私、貴方に名前教えてないし、貴方のも教わってないでしょう? どこで知ったのよ」
「はぁ!!? え、まさか────」

思わず、といったように叫び声を上げたキリトが。
視界の端にあるパーティーメンバーの名前を読ませようとアスナの顔を固定するためにその頬に触れて…………。


ズキリ、と胸が痛んだ。


「なぁんだ……こんなとこに、ずっと書いてあったのね」

くすくす笑ったアスナが、改めてキリトを見つめる。

「ホントはね、キリト、貴方にお礼を言うために追いかけてきたの。私……この世界で初めて目指したいもの、追いかけたいものを見つけたから」


──その、強い視線に。
わかってしまった。
彼女の目指すもの。見つめる先。
願っている、“未来”。

(……ああ、敵わないな……)

きっとキリトには、アスナみたいな人が相応しいんだと思う。
美人で、純粋な想いだけで彼に向き合ってる。



──────でも、予感がしたんだ。


いつか、キリトこそが。
この世界を解放するのではないかという予感。
……そして、そうであるならば。

私の意思など関係なく、
キリトこそが私の“捜し人”で、私が必要とする存在だ。

10-3→←10



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (26 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
66人がお気に入り
設定タグ:SAO , 女主人公×キリト ,
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

Kizuna(プロフ) - わあああすみません!!!ご指摘ありがとうございます(>o<") (2017年3月7日 14時) (レス) id: 62524f433b (このIDを非表示/違反報告)
ネムム(プロフ) - オリジナルフラグを外してくださいねー (2017年3月7日 13時) (レス) id: 2bd2d16489 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:Kizuna | 作成日時:2017年3月3日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。