【銀魂】君がいる日常【短編集】 (ページ2)

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酒【土方十四郎】ページ2

｢なぁ、酒飲まねぇか｣

始末書と睨めっこしていると、副長兼私の彼氏が珍しくお酒を誘ってくる。

｢いいけど珍しいね｣

｢今日は綺麗な満月だ
こんな日はうめぇ酒が呑みたくなる｣

｢随分と風流なんですね｣

縁側に座り十四郎にお酌をする。なんだかその顔は満足気だ。可愛いなァ。

｢やっぱうめぇ｣

｢仕事終わりの1杯は最高だね｣

｢お前のはまだ終わってねぇけどな｣

うっ、確かに...見たくはないけど後ろには山積みの書類がある。呑気にお酒飲んでる暇じゃなかったかもしれない。

｢安心しろ手伝ってやらァ｣

｢うわァァァ、神様仏様土方様！｣

｢ふっ、アホか｣

月の光に照らされた彼の笑は不吉なまでに美しく見えた。不覚にもドキドキする。

｢こうして惚れた女と飲む酒は一段とうめぇ｣

｢よくもまあ恥ずかしいことを堂々と...｣

私は十四郎を直視出来なくなり、俯く。お酒に映った月が少し揺れる。

｢照れてんのかよ。可愛いやつだな｣

｢バカ｣

のぞき込む彼は顔を赤くして、また満足気に笑う。ホントにずるい人だ。

｢A｣

｢んっ｣

軽く唇が触れたと思えば口の中にお酒が流れ込んでくる。急なことで、溢れたお酒は首筋を伝う。

｢...何してんの｣

｢あ？俺の酒を分けてやった｣

｢バカじゃないの...｣

多分、私の顔はりんごのように真っ赤である。

｢我慢ならねぇ｣

｢えっ、ちょっと｣

ドサッと覆いかぶさった十四郎は至る所にキスを落としていく。もうダメだ、彼に身を委ねよう。

その夜、寝静まった屯所には誰かの声が響いていた。