#128 ページ18
朝の支度が終わって応接間へと向かう。
ダルツォネに集合を掛けられたからだ。
朝から呼び出されて、集まった仲間達は皆 虫の居所が良くなさそうだった。
全員揃ったのを見ると、彼は本題へと話を進めた。
ダルツォネ「単刀直入に言おう、我々の勝率はほぼゼロに等しい。」
「ど、どういうこと！？」
だって旅団員捕まえてたし、オークションの商品だって守ったじゃない。
思わず身を乗り出してそう言うと、私を窘めるようにして彼は言葉をつなげた。
ダルツォネ「敗因は二つだ。
一つは、オークションに蜘蛛が乗り込んだこと。
それからウヴォーギンとの戦いがあったことで此方陣営が大幅に人数を減らしたこと。
二つ目は＿＿＿あの男が脱走したことだ。」
クラピカ「脱走しただと！？頑丈に拘束していた筈だが何故だ。」
ダルツォネ「確かに普通の人間の力じゃあの拘束具を外すことは不可能だ。
…だが、アイツは普通の人間なんかじゃなかった。ただそれだけだ。」
「ねぇ、ヴェーゼさん達って…」と呟くと、センリツが私の肩を軽く叩いた。そして、静かに首を横に振った。
「そっか…。」
(あぁ、彼女も…)
つくづく恐ろしい場所に足を踏み入れてしまったんだな…と思った。
常識なんて言葉は飾りも同然で、人の命は硬貨１枚よりもずっと軽い。
ダルツォネ「我々の屋敷まで知られてしまった、奴には死んでもらわねばならない。」
背筋が凍るくらいに冷静にダルツォネがそう言い放つと、「私が行く。」とクラピカは挙手した。
あーあ、やっぱり。
脳裏には数日前のボスの占いの言葉が焼き付いていた。
(“奪われし命”……)
もしもそれが彼の事を指していたらどうしようか、と視線を足元に移した。
服の裾をギュッと握りしめると、その上にひと回り大きな骨ばったものが重なる。
クラピカ「大丈夫。お前が待っていてくれる限り、私は死なない。」
「クラピカ…」
その言葉で不安が一掃されたかと言えば頷けはしない。だけど、信じて待たなきゃいけない、それが私の課された使命なんだと思った。
ダルツォネ「クラピカ、くれぐれも無理はするな。」
クラピカ「あぁ。」
クラピカを抜いた残りの面々の配役が発表される中、話も聞かず心の中で祈りを捧げた。
(神様、もし居るのだったらクラピカのことを殺さないでください。…私の一番の支えなんです。)
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かにかま(プロフ) - みなみさん» 初めまして、素敵なコメントをありがとうございます(^^) 最近はプライベートが色々と忙しいので更新頻度が低いのですが、お付き合い頂けたら嬉しいです。 (2019年11月16日 22時) (
レス) id: 39e4a96b67 (このIDを非表示/違反報告)
みなみ - コメ失礼します…！とっても面白いです！！すごい好きです！これからも頑張ってください…！！！ (2019年11月16日 22時) (レス) id: 1440843f6c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かにかま | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/0660ea0a061/
作成日時：2019年10月6日 23時
