来客(1) ページ10
#萬屋山田
夏休みが始まって数週間。
漸くセミの合唱も本格化し始めてきた。そんな頃合いだ。
相変わらずパソコンの前でにらめっこする弟。一郎は心配そうに様子を伺った。
「三郎、本当に夏期講習とらなくて良かったのか?金の心配ならしなくていいんだぞ。」
「嫌だなぁ、一兄。僕は日本中どこの高校にも合格すると自負してますから。」
「そりゃお前が頭良いことは分かってるけどよ……」
あまりにも余裕そうだから心配になってしまうんだ。
そう言われて、三郎は即座に部屋から問題集を運び取り組み始めた。単純だ。
本当に三郎の実力をもってして落ちる高校など、下手すれば大学ですらないのだが、お世辞にも勉強が得意だとは言えない一郎にしてみれば「受験」というものが未知の存在であり、言葉にできぬ恐怖心を抱いているのだ。
「どれどれ……う゛………」
一郎は三郎の手元を覗き込むなり、潰れた蛙のような声を漏らした。
中学生の数学ってそんなに難しかったか………?あぁ、いけねぇ。8月31日の思い出が…………
突如頭を抱え出した兄を心配になって見やれば、丁度オフィスの扉が開いた。
「兄ちゃん、お客さん拾った。」
コンビニに買い出しに行った二郎。そして、彼の後ろから控えめに姿を覗かせるのは………
「こんにちは………………って三郎?」
「…………げ」
数週間振りの彼女だった。
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あぽろ(プロフ) - 描いて下さりありがとうございます…(?)めちゃくちゃいい作品で、びっくりしました…! (2021年5月1日 5時) (レス) id: a236361d3f (このIDを非表示/違反報告)
かにかま(プロフ) - 茉莉さん» コメントありがとうございます。わー、そうなんですね!茉莉さんの推しのイメージを壊さないように頑張ります(^^) (2020年11月27日 19時) (レス) id: c18fa87c81 (このIDを非表示/違反報告)
茉莉 - 更新お疲れ様です!!強盗役のラップ私も好きですwwしかも三郎くん私の推しなんで我得でしかない…//(キモい) 応援してます〜!! (2020年11月27日 17時) (レス) id: 78857a4183 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かにかま | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/0660ea0a062/
作成日時:2020年11月26日 1時